日本共産党の梅村さえこ議員は9日の衆院総務委員会で、臨時・非常勤の地方公務員の任用方法を再整備する地方公務員法改定案について、「新たな待遇格差を生むものだ」と批判し、処遇の抜本的な改善を求めました。
同改定案は、「会計年度任用職員」という新たな仕組みを導入し、臨時・非常勤の地方公務員の大部分を移そうとするもの。とくに、会計年度任用職員をフルタイム職員とパートタイム職員とに分け、1分でも労働時間が短ければ、手当等で格差を設けています。
梅村氏は臨時・非常勤の国家公務員では期間業務職員(常勤職員の4分の3を超える勤務時間)と短時間非常勤職員の間で給与上の差を設けていないと指摘。「(地方公務員での)差別化は均等待遇の流れに逆行する」とただしました。
総務省の高原剛公務員部長は「給与体系のあり方については、検討課題だ」と答弁しました。
また、梅村氏は「同一労働同一賃金」に向けた自治体の努力など、これまでの運動で作られた前進を法改定によって引き下げさせてはならないと指摘。高原部長は「法改定の趣旨は、任用の適正化と勤務条件の確保だ」と述べ、不利益変更が起こらないようにしていくと答弁しました。
【「しんぶん赤旗」2017年5月10日付】
―会議録ー
○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
地方公務員法等改正案について質問いたします。
本改正案は、特別職非常勤職員、一般職の非常勤職員、臨時的任用職員という臨時、非常勤のあり方において、本来の趣旨に合わない任用があるとして整理し、新設される会計年度任用職員に多くを合流させようとするものです。
しかし、これまでの参院での参考人質疑や衆参での審議によって、本法案が、本来の非正規から正規への促進ではなく、非正規の固定化や雇いどめ容認の危険があるのではないかという疑念、さらに、非正規の中に新たな格差を生む問題点が大きく浮き彫りになってまいりました。現場で働く皆さんからも強い批判の声が上がっているところです。さらに、この点、伺っていきたいと思います。
先日、公立保育所で非正規で働く保育士さんから、正規と同じ仕事なのに給料は低く、私たち非正規職員は不満が募るばかりだとの手紙をいただきました。仕事にはやりがいはあるが、悔しい、希望が持てない。当然の声だと思いました。
そこで、地方公務員法改正案の二十二条の二について伺いたいと思います。
会計年度任用職員という名称も問題だと思いますが、今回、フルタイムとパートに分ける計画だと思います。これは、十二月の研究会報告書にはなく、閣議決定直前に変更となったものだと思います。新たな待遇格差を生むものではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
会計年度任用職員の勤務時間については、研究会報告書においても、これまでにもフルタイムとパートタイムの任用が行われている、今後とも同様の選択を認め、各地方公共団体における多様な任用を可能とすべきとされております。
このうちパートタイムにつきましては、常勤職員よりも短い勤務時間で職務に従事し、その勤務形態も多種多様で一律ではないことから、改正法案においては、営利企業の従事制限について、フルタイムは対象とし、パートタイムは対象外とする、給付について、フルタイムは給料、手当とし、パートタイムは報酬、費用弁償、それに加えて期末手当とするといった異なる適用関係としております。
このため、フルタイムとパートタイムについて、別の区分を設けたというところでございます。
以上でございます。
○梅村委員 今そういう御説明がありましたけれども、一月に入ってからの改正原案そのものでは、やはりこの区分けはなかったわけであります。しかも、先ほど御紹介があった十二月の研究会報告では、常勤職員と同様に給料及び手当の支給対象とするよう給付体系を見直すことについて、立法的な対応を検討すべきというふうにされ、その上で、給与水準を継続的に改善していくことができるよう、検討すべきとしていたかというふうに思います。
そのときに、時間外手当、通勤手当とともに、退職手当、期末手当についても適切に支給すべきだというふうに研究会の報告書ではあるかというふうに思います。
それに対して、今御答弁がありましたように、今回の改正案では、フルタイムとパートに分け、フルタイムは給料及び各種手当が支給対象になりますが、パートタイムは、これまでと同様、報酬、費用弁償の対象で、通勤費などは従来どおり費用弁償の対象となるものの、支給が明文化されたのは期末手当のみになってしまったというのが経過ではないかというふうに思います。
そういうふうに考えますと、年末にありました研究会報告書からしますと、やはり同一労働同一賃金、均等待遇の流れからは後退しているのではないかというふうに感じざるを得ません。
そこで、質問として、そういう期末手当などについての国の財政支援について高市大臣に伺おうと思ったんですけれども、これまでの質疑でたくさんありましたので、積極的に取り組んでいただけるという御答弁が繰り返しありますので、やっていただくということを強く要望したいというふうに思います。
そこで、会計年度任用職員に戻りまして、フルタイムとパート、区分について戻りたいというふうに思います。
このフルタイムとパートについての区分は、一分でも短くなればフルタイムからパートになるのかどうか、いかがでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
会計年度任用職員制度においては、一週間当たりの勤務時間が常勤職員と同一である者をフルタイムの会計年度任用職員とし、これよりも短い時間の方をパートタイムの会計年度任用職員と定めているところでございます。
以上でございます。
○梅村委員 ですから、もう少しわかりやすく。この資料でそういうふうに法文上の言葉を使っていますが、私の質問は、一分でも短くなればパートですかと聞いているんですから、ぜひ答えていただきたいと思います。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
一分でも勤務時間が短い方は、パートタイムの会計年度任用職員ということでございます。
○梅村委員 短くなればということでよろしいんですね。
そうしますと、フルタイムを短時間に切りかえていくような流れが、危険が生まれる可能性もあると思いますが、そうしたことについてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
会計年度任用職員の勤務時間については、一般的には、各地方公共団体において、職務の内容や標準的な職務量に応じて適切に設定していただく必要があるものでございます。
しかしながら、勤務条件の確保に伴う財政上の制約を理由として、合理的な理由なく短い勤務時間を設定し、パートタイム型の会計年度任用職員として任用することは、臨時、非常勤職員の適正な任用、勤務条件の確保を目的とする改正法案の趣旨には沿わないものと考えております。
今回の改正法案におきまして、会計年度任用職員について、フルタイムでの任用が可能であることを法律上明確化したという意義もございまして、フルタイム型での任用は人事管理や勤務条件の確保の面でメリットがございますので、職務の内容などに応じて、各地方公共団体において積極的な活用を検討するよう促進を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○梅村委員 今の御答弁どおり、待遇差を生まないようにするのが法の趣旨だというふうに思いますので、しっかりと徹底をしていただきたいというふうに思いますし、そもそも、一分、二分でもフルタイムより短くなればパートとされ、結果、フルタイムであれば給与と手当、しかし、パートであれば報酬と費用弁償と分けるような改正は、やはりやめるべきだというふうに思います。
給与、手当で統一するなど、やはり均等待遇に本来近づけていくべきだというふうに思います。一分となりますと、余りにもフルタイムとパートの変化が激変で、いきなり崖があるような、そういうような区分けではないかなというふうに思います。
その点、今回の会計年度職員の参考にしたとされる国家公務員の期間業務職員の場合はどうなっているのか、御説明いただきたいと思います。
○嶋田政府参考人 お答え申し上げます。
国の非常勤職員には、一会計年度に限って置かれ、勤務時間が常勤職員の四分の三を超える期間業務職員のほか、いわゆるパートタイムの職員などがおります。
これら非常勤職員の給与につきましては、給与法、一般職の職員の給与に関する法律におきまして、「各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給する。」と規定されており、フルタイムの期間業務職員、それ以外の期間業務職員やパートタイム職員の間で、給与制度上、差は設けられておりません。
○梅村委員 国家公務員の期間業務職員、またその他のいわゆる非常勤職員については、全て給与、手当ということで、その差はないということなわけですよね。ですから、働く時間によっていろいろな違いは出てくるかもしれないけれども、同一労働同一賃金により近い形にはなっていくのかなというふうに思います。
一番問題点は、今回、会計任用職員のときに、フルタイムは給与と手当なんですけれども、パートであればやはり費用弁償と報酬にとどまっている。ここの大もとが変わらなければ、どうやって地方公務員の中で同一労働同一賃金に近づいていくのかというのが大きな疑問としてあるわけですけれども、この点、いかがでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
国家公務員につきましては、従来からそのような給与の体系であったわけでございますが、地方公務員の場合、従来から、常勤職員が給料、手当で、非常勤職員が報酬、費用弁償という地方自治法の規定があったわけでございます。
そういった中で、研究会の報告書が昨年十二月に出されまして、地方公共団体の意見を聴取いたしましたところ、やはり支給可能な手当を明確にすべきとする意見が多数寄せられました。それを踏まえて、私ども、パートタイム型の会計年度任用職員の方につきましては、現行の報酬、費用弁償の給付体系を維持しつつ、期末手当を新たに支給できるよう措置しようとするものでございます。
これまでは期末手当の支給が法律上認められておらなかったことを考慮すれば、民間部門に係る同一労働同一賃金ガイドライン案における、いわゆる賞与についての正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消、そういった方向性には合致しているというふうに考えているところでございます。
○梅村委員 聞いたことにお答えになっていないんですよね。答弁、逃げていらっしゃるというふうに思います。
同一労働同一賃金との関係で、フルタイムは給与といわゆる手当、そして、パートであれば費用弁償といわゆる報酬ということを残したというか、その差をつけたことは、同一労働同一賃金につながることとの関係でいえば、やはり問題があるのではないか。そういう認識に立たれていないか。
今は自治体の要望ですぐできないとしても、本来、そういう問題点があり、国家公務員がやっているように、やはり土台を一緒にしていくべきだというような立場には立たれませんでしょうか。いろいろな制度、国家公務員の制度に準じてと言っているのに、この部分だけ違いを残すというのはおかしいんじゃないでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
総務省といたしましては、今回の会計年度任用職員制度の導入を契機といたしまして、今後、各地方公共団体における定着状況や、民間の動向、国家公務員に係る制度、運用の状況などを踏まえ、また、厳しい地方財政の状況にも留意しながら、今後とも会計年度任用職員に係る適正な任用あるいは勤務条件の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○梅村委員 では、今後とも確保ということは、そういう方向に向けて改善を図っていくということもある、そういうものだということで認識してもよろしいんでしょうか。
このままパートとフルタイムは固定化していくのか。いや、国家公務員は土台が給与と手当と一緒になっているわけだから、いろいろ制度や財政的な措置をした流れの中で、やはり本来はフルタイムとパートもいわゆる給与と手当に土台としてはしていくべきだ、そういう方向性を目指すのかどうかというのはいかがでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
先ほど来、パートタイム型の会計年度任用職員に対するほかの手当の給付についても御議論いただいているところでございますが、そういった問題とあわせて、給付体系のあり方についても私ども検討課題とさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
○梅村委員 検討課題があるということで、ぜひ引き続き改善を図っていただきたいというふうに思います。
それで、これに関して、先ほども御質問があったんですけれども、これまでの裁判で、常勤職員の四分の三程度の労働時間があれば常勤職員並みの処遇は可能との判決が出され、こうした判決に沿って、労使で交渉、合意し、同一労働同一賃金に向けて努力してきた自治体が各地であるかというふうに思います。
この点について、参議院での審議で、いわゆる雇いどめを行うとか処遇を引き下げるとかといったような、改正法案の趣旨に沿わないものと考えているとの答弁があったかというふうに思います。
これまで築いてきたこうした労働者の賃金、労働条件については、引き下げなどすることは法の改正趣旨には沿わないということで捉えていてよろしいんでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
今回創設されます会計年度任用職員については、フルタイムでの任用が可能であることを法律上明確化したところでございまして、こうした任用は人事管理の面でも、あるいは働く方の勤務条件の確保の面でもともにメリットがあることを考慮いたしまして、職務の内容などに応じて、そういった従来からさまざまな取り組みをしておられた地方公共団体などにおきまして、特に積極的な活用を検討するよう促進を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○梅村委員 そうしますと、今回の会計任用職員の導入に伴って、いわゆるこれまでいろいろな努力をされてきた賃金や労働条件の条件というのは引き下げないということで考えていてよろしいんでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
今回の法改正の趣旨が任用の適正化と勤務条件の確保ということでございますので、そういった不利益変更ができる限り起こらないような形で、私ども、条件をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○梅村委員 いろいろ働く皆さんの長年の努力で培ってきた到達がさまざまあると思いますので、やはり前進に向かう流れで進んでいただきたいというふうに確認させていただきたいと思います。
それで、次に確認したいんですけれども、内閣人事局に伺います。
同じように、昨年九月、国家公務員では非常勤職員に関する実態調査を行っていると思います。そこでの期末手当、勤勉手当の結果と、それを踏まえた同一労働同一賃金に向けた改善施策、今後行うのかどうかを御答弁いただきたいと思います。
○稲山政府参考人 お答え申し上げます。
内閣人事局におきましては、昨年、国家公務員の非常勤職員の処遇の実態について調査をいたしたところでございます。その結果によりますと、期末手当に相当する給与につきましては、フルタイムの非常勤職員にはほぼ全員に支給、フルタイム以外の非常勤職員には一割に支給といったような状況でございました。
内閣人事局といたしましては、本年三月に決定されました働き方改革実行計画における、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消という考え方、あるいは先ほど申し上げました実態調査の結果、民間の取り組みなども踏まえながら、国家公務員の非常勤職員の処遇改善を進めていきたいと考えてございます。
○梅村委員 勤勉手当についてはいかがでしょうか。
○稲山政府参考人 先ほどの実態調査の中で、勤勉手当に相当する給与につきましては、フルタイムの非常勤職員には約八割に支給、フルタイム以外の非常勤職員には一割未満というような状況でございました。
○梅村委員 それに基づく今後の対策とかは検討されているんでしょうか。
○稲山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁させていただきましたとおり、民間の方の考え方、あるいは民間の取り組み、それから実態調査の結果を踏まえまして、具体的な対応を実効が上がるように検討しているところでございます。
○梅村委員 現在、期末手当やこうした手当について、調査に基づいて対策を検討しているということだったというふうに思います。
そういう流れが国家公務員の方でもありますので、そういう流れのもとでは、地方公務員の方も流れができてくれば、当然、地方公務職場での改善も目指していくということを考えてよろしいでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
私ども、国家公務員の臨時、非常勤職員の勤務条件との均衡というのは大変重要であるというふうに認識しておりますので、国家公務員の取り組み等を参考にさせていただきながら、しっかり今後検討してまいりたいと思います。
以上でございます。
○梅村委員 しっかりやっていただきたいというふうに思います。
最後に、高市大臣、女性の活躍との関係で、非正規、女性が非常に地方公務職場では多く、六十四万人のうち約四十八万人が女性の臨時、非常勤かというふうに思います。そこでの対策、特に、育休がまたとれないというような状況もあります。女性の活躍推進との関係でも、この部分での改善について、最後、お願いいたしたいと思います。
○高市国務大臣 各地方公共団体において、一般職非常勤職員に係る育児休業制度の整備を進めるということは非常に重要だと考えております。
この育児休業につきましては、その範囲等が条例に委任されていますので、各団体で条例整備が必要になります。
条例整備がおくれている地方公共団体が多く見受けられましたので、総務省としては、昨年十二月の総務省通知で、速やかな条例整備を強く要請いたしました。
この結果、本年一月現在の調査ですが、平成二十八年度中の制度導入を目指している団体を含めた導入済み団体の割合が全体の六九・九%、検討中の団体を含めると全体の九五・一%となっています。
現在御審議いただいております改正法案が成立して施行されましたら、パートタイムの臨時的任用職員の方々は一般職の会計年度任用職員に移行していただくことになりますので、会計年度任用職員として育児休業を御取得いただくことが可能となります。
この条例整備を確実に行っていただくということはもとより、法施行前においても、一般職への任用がえは可能であるということも各地方公共団体にお示しをして、しっかりと育児休業が取得しやすい環境づくりに努めてまいります。
○梅村委員 終わります。ありがとうございました。
ー配布資料ー