梅村さえこ議員は5月21日の衆院総務委員会で、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案について質問し、国民に負担増をおしつける一方で大企業の海外事業参入を手厚く支援する政府の姿勢をただしました。
梅村議員は、今回の機構「官民ファンド」が安倍内閣のうちだす“成長戦略”のもと、日本企業が活動しやすいよう投資機構をつくるものでないかと質問。高市早苗総務相は「日本にとってチャンスであり、今うってでなければならない」などと答弁しました。
梅村議員は、海底ケーブルや携帯電波網構築など海外で受注する企業は東芝やNEC、KDDI、住友商事などいずれも力を持った大企業であり事業規模も約200億円と巨大プロジェクトだと指摘。今回の機構設置で「270億円も税金を投入して大企業を優遇するのは逆さまで、増税や社会保障切り捨てに苦しむ国民は納得できない」と批判しました。
【「しんぶん赤旗」2015年5月23日付】
ー会議録ー
○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案について質問したいと思います。
まず、大臣は、この法案についての説明の中で、我が国経済の持続的な成長のためには、海外における新たな事業機会を捉え、我が国の事業者の収益性の向上を図る必要があると説明されました。
また、大臣御自身のホームページでも、タイ王国訪問報告として、海外へのビジネス展開を現実のものとするためには、人、物、金において、官民共同で戦略的に投資する必要がある、この法案を可決していただけましたら、機構による支援を通じて、アジアを初めとする海外において拡大が見込まれるICT分野における新たなサービス需要を積極的に取り込み、我が国の経済成長につなげることができるよう、さらに頑張ってまいりますと述べておられます。
そこで、まず大臣に御確認したいと思いますが、つまり、今回の機構、いわゆる官民ファンドは、安倍内閣の成長戦略のもと、日本企業が活動しやすいように事業者の収益を上げるため投資機構をつくると考えてよろしいでしょうか。
○高市国務大臣 アジアを中心とする海外で今後市場の拡大が見込まれている通信、放送、郵便事業の需要を取り込むということが重要であるということが一つ。
それから、委員が御指摘くださったように、やはり通信、放送、郵便事業というのは、規制分野であるとともに、政治的な影響も受けやすいというリスクがありますから、公的な性格を有する機構が、資金供給や専門家派遣などを通じて支援を行ってリスクの軽減を図るということが、結果的に、潜在的な海外需要の開拓、我が国事業者の収益性の向上、そして我が国経済の持続的な成長に寄与することになると考えております。
○梅村委員 今、大臣の御答弁にもありましたリスクの問題ですけれども、具体的にどんなリスクがあるのか、もう少し具体的に説明をお願いしたいと思います。
○鈴木政府参考人 お答えさせていただきます。
海外におけますリスクとしては、特に政治リスクといたしましては、突然の政策とか制度の変更、それに伴います需要のリスクとしては、例えば、急な料金政策の変更等によりまして想定していた売り上げを確保できずに採算割れを招くといったようなリスクなどを想定してございます。
そもそも、通信、放送、郵便事業につきましては、参入規制だとか料金規制という規制に大きく依存しておりますために、突然の規制の変更による事業見直しのリスク、あるいは、有限希少な電波を利用する事業も多いために、政府からの周波数の割り当ての着実な履行がないと事業展開が一切できなくなるというリスク、そういったものが想定されてございます。
○梅村委員 それでは、今回のような機構は、ほかの国にも同じようなものはあるのでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
本機構のような、海外におけます通信、放送、郵便事業を出資を通じて支援する組織の存在というのは余りございません。
ただし、中国や韓国の事業者は出資ではないものの、例えば中国においては、自国の労働者や資機材を利用するという形でひもつきの援助を行うであるとか、あるいは、国がまさに事業者と一体であるという形で海外展開を行っているものとの競争だというふうに認識してございます。
○梅村委員 国として、さまざまな政策はこれまでも日本でもしてきたと思いますけれども、機構という形をとって官民ファンドで支援をしていくことについて言えば、海外でも例がないということでございました。
私は、そもそもこの法案について、成長戦略のため、海外事業拡大のためということはかなり書いてあるわけですけれども、やはり税金、一般会計も投入していく問題でありますし、国民にとってどのような意味があるのか、こういう点の議論も非常に大事な点だというふうに思っております。
といいますのは、やはり今、格差と貧困の拡大の中、とりわけ子供たちは六人に一人が貧困に陥っています。私も地元に帰れば、やはり、経済はよくなったというお声もありますけれども、多くは、年金が下がって、引き続き暮らしが大変。
そういう中で、国民に対しては国の財政が大変という中で、この間、自立自助というものを徹底して求め、今年度予算でも社会保障については三千九百億円も削るような状況だったというふうに思います。
なぜ、国民に対しては自立自助で、そういう努力を求めながら、こういう企業に対して官民挙げて人、物、金を手厚く整え、そして、とりわけ機構では、政府保証で七十億円を一般会計から出しますし、出資二百億円は財投から行うもので、財投は公的資金であります。
そもそも、資本主義社会でありまして、個々の民間企業が収益や利益を上げようと思えば、何らかのリスクはつきもので、そのリスクを勘案して事業化したり受注したりするのが経済制度であるとも思います。にもかかわらず、あえて国民に自立自助を厳しく強いながら、こういう企業に対しては減税や資金援助、税金も投入する。やはり、国民生活の実態からすると、話が逆さまではないかというお声もあろうかと思いますけれども、この点は、高市大臣、いかがお考えでしょうか。
○高市国務大臣 この通信、放送、郵便事業分野というのは、先ほども申し上げましたが、規制分野であるということから生じる海外でのリスク、政治的なリスクもございます。政権がかわった後、受注が見込まれていたものがなかなか受注できなくなってしまう、そういった国においてまたニーズが非常に高いといったこともあります。需要のリスクもそれに伴って発生します。
それでも、日本にとっては大きなチャンスをもたらす分野でございますし、今このタイミングでやはり打って出ていかなければということから、こういった機構を用いて、本当に一押しをすることで各企業に、当然自己責任でございますけれども、一定のリスクをこの機構でとりながら後押しをしていくということでございます。
しかし、海外に出ていかれる事業者だけじゃなくて、その企業が海外に出ていくことによって、そしてまた、そこでビジネスがちゃんと成り立っていくことによって、関連機器等、部品なども含めて、納めている他の国内事業者にもメリットが出てくる。そういったことを考えますと、やはりこれは雇用の拡大につながっていくと私は考えます。
ですから、企業だけを応援するというよりは、企業が発展してしっかりと収益を上げてくださることによって、国民、消費者にも還元されていく、雇用の拡大それから賃金の拡大によって家計で景気回復を実感していただく、その一助となるものだと考えております。
○梅村委員 ただ、その手厚さはすさまじい内容ではないかなと思います。
この間のトップセールスの分野の取り組み、いつ、どのような国に、どのような企業と行ってきたのか、これについてお答えいただきたいと思います。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
総務省は、経協インフラ戦略会議など政府全体の取り組みの一環といたしまして、ICT分野における海外展開支援を積極的に推進してまいりました。
地デジに関しましては、もう御存じのとおり、世界十七カ国に方式を採用していただきまして、今現在、具体的に送信機等の機械が売れているという状況でございます。
トップセールスという意味では、アジア、中南米地域を中心に、約二十カ国でトップセールスを行っておりまして、現在は、地デジのみでなく、ICT分野全体にその活動を広げ、日本のすぐれたICTインフラやサービスの海外への展開に取り組んでいるところでございます。
このゴールデンウイークも、実は私、高市大臣と一緒にタイを訪れて、プラユット首相などと会談し、トップレベルで協力強化に合意してまいりましたし、また、西銘副大臣、先ほども御答弁いただきましたが、チリを訪問して、ゴメス・ロボ運輸通信大臣とも会談をいただきまして、ICT分野全体で協力することに合意していただくなど、積極的にトップセールスを実施していただいているところでございます。
○梅村委員 それでは、そうした中で契約に至った事業規模や受注企業などはいかがでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、放送分野におきまして、早くから取り組んだ地デジ日本方式の採用国の増加に伴いまして、まさに日本企業による海外でのデジタル放送の送信機の受注が大変ふえているところでございます。
また、通信インフラとしましては、インドネシアと米国間を結ぶ海底ケーブル及びブラジルとアンゴラを結ぶ海底ケーブルの受注、これはアフリカと南米を結んだ初の光海底ケーブルだそうですが、それと、ミャンマーにおけます現地の国営通信事業者との業務提携及び円借款によります通信網の改善事業、こういったものの形成にも成功してございます。
このほか、防災ICTにつきましては、インドネシアにおける防災ICTシステムのODA案件の形成、それからインドにおけます固体化気象レーダーの受注に成功するなど、ICTのいろいろな分野で成果を上げてきているところでございます。
○梅村委員 済みません、それで、企業名の方は、どういう企業になっておりますでしょうか。
○鈴木政府参考人 個別の企業名につきましては、ちょっと今手元にございませんが、そういった我が国でまさに世界と競争しておりますような光のケーブルをつくっていらっしゃる会社であるとか大手の企業といったものが、まずはこういった実績を上げられております。
○梅村委員 今、具体的な企業名はありませんでしたけれども、大手のというお話がありました。
二〇一四年のインドネシア海底ケーブル、これは約二百六十億円ですけれどもNEC、インドで固体化気象レーダーは東芝、ブラジルとアンゴラ間の海底ケーブルはNEC、そして、先ほどのミャンマーの携帯電話網の構築では住友商事とKDDIというような報道も新聞でされているかというふうに承知しております。
結局、こういう企業を見てみると、そもそも自力でこの間海外進出をしてきた大手の、大企業が中心となっている感もあるというふうに思います。
今回の機構では、こうした体力のある、力のある、リスク、リスクと言いますけれども、リスクも本来資金的にはしょい込めるような、そういうようなところも対象になっていくのでしょうか。
○西銘副大臣 本機構は、通信、放送、郵便事業等を行う者に対して資金供給やその他の支援を行うこととしておりまして、海外需要の拡大を通じて、当該事業者に関連の機器を供給する事業者、さらには我が国の国内の事業者の収益の向上にも資すると考えております。このことをもって、我が国全体の産業、経済の持続的な成長に寄与することを目的としているものであります。
また、我が国事業者の収益性の向上は、単に当該事業者が享受するものではなくて、売り上げを通じて我が国で使われる機器の料金が安くなっていく、低廉化などさまざまな形で国民の利用者にも還元をされることが期待されております。
このように、海外における通信、放送、郵便事業を支援することは、経済の好循環の実現をもたらし、そのことに寄与するものでありまして、そのことを通じて国民全体に広く恩恵をもたらすものと考えております。
以上です。
○梅村委員 そういうところが潤えば国民に還元があるというお話でありました。
しかし、実際にこの十年ぐらいの成長戦略や経済政策の中で、大企業は内部留保、利益を非常に上げているにもかかわらず、そして今御紹介があった大企業で見ますと、例えば、KDDIでも二兆八千一億円の内部留保があります。東芝も一兆八千億円の内部留保があります。住友商事も一兆六千億円などがあります。
しかし、この内部留保、しかも株式への配当が中心で、国民、労働者への賃上げなどには、なかなかこの間、還元されてこなかったというのも経済の実態であったというふうに思うわけであります。
また、税金の減税が物すごく既にやられているわけです。法人三税は、そもそも実効税率は約四〇%でありますけれども、これらの企業、例えば住友商事などは、さまざまな減税で九・九%になっている。これに加えて、今回の予算でも、今後二年間で大企業向けの法人税の実効税率は三・二九%下げて、一兆六千億円もの減税を実施しようとしているわけです。
まだ、国の財政が潤い、国民にも社会保障の切り捨てなどをやっていないときであれば、こういう支援も含めて、さまざまな議論があろうかと思いますけれども、国民に対して、国の財政が大変ということでさまざまな切り捨てをやる中で、なぜこれほどの手厚い支援を官民ファンドをつくってまでこの時期にやらなければならないのか、このことは大きく問われなければならないというふうに私は思います。
そこで、今回のこういう問題が、本当に国民や国内の中小業者に還元されるのか、この間は十分企業のもうけが国内の労働者の賃上げや国民生活に還元されなかった、だから今、国民は悲鳴を上げているわけで、今度の機構がそういうものになるかどうかというのを改めて西銘副大臣から伺いたいと思います。
○西銘副大臣 通信、放送、郵便の分野は、アジアを中心に世界市場の拡大が見込まれております。一方、国内の市場は少子高齢化等々、比較しますと、このアジアの世界市場、拡大を見込まれているところに展開していくということは重要なことだと考えております。
また、これらの分野は、規制の分野でありまして、政府が非常にかかわってまいりますし、政治的な影響を受けやすいなどのリスクが高いということから、特に支援が必要と考え、通信、放送、郵便の分野に特化した機構を新たに設立するものであります。
本機構は、海外需要開拓支援機構、クールジャパン機構や海外交通・都市開発事業支援機構、JOINなどの既存の官民ファンドとは政策の目的や対象の分野が異なるものであります。
また、この機構は、融資を中心とするJBIC、あるいは開発協力を行うJICAなどの公的機関による支援のみでは十分な実施が困難なプロジェクトを支援するために設立することを目標としております。
事業者からは、民間のみでは十分な資金供給ができない事業へのリスクマネーを供給するという資金的な支援に加えまして、政府が出資をして公的な組織になりますこの組織の関与によりまして、政治リスク等の軽減を図るという事業運営上のメリットもあることと思います。大きな期待が寄せられているところであります。
以上です。
○梅村委員 済みません、今の質問は次の質問のお答えだったかと思いまして。
今聞きましたのは、やはり、大企業にこれだけ手厚い援助をして、今までは私たち国民にはなかなか賃金だとか暮らしの面では波及がなかったように思うんだけれども、本当に、一般会計まで使ってファンドをつくって、そういうことが私たち国民にしっかりと還元されるのか、国内の中小業者にまでその利益が行き届くのか、そういうことをちょっとお伺いしたかったので、今の質問はまた先のことだったので、承っておきます。ありがとうございます。
その点、いかがでしょうか。
○西銘副大臣 この機構によりまして、民間事業者が海外展開していくことを応援していくと先ほども答弁しましたけれども、関連する機器の事業等、国内の事業者がそのことによって販売を伸ばしていくということによりまして機器の値段が下がっていく、あるいは国内の事業がそのことによって潤っていくことによって、国民への、働く人たちへの還元も十分に可能だと考えております。
以上です。
○梅村委員 こういう質問をいたしますのは、今御答弁にもあるように、機構というのが、リスクの少ないところは民間独自でやり、民間ファンドが、民間では参入しにくいリスクの高いところ、初期のリスクマネーを請け負い、呼び水を起こしていくということですけれども、かなりのハイリスクを請け負う計画になっているからこそ、やはり危惧もあるのではないかということを質問させていただいているんですけれども、そのようなリスクの高い官民ファンドになりませんか。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
まず、今回つくりますファンドは、まさに民間だけに任せておきますと、リスクが高いのでなかなか出ていかない。そこに対して一部出資という形でリスクの負担を申し上げれば、まさに先生御指摘でありますような企業の内部留保などが海外展開の投資に回って、それがビジネスとなって、ビジネスの収益を上げる、それが国内のいろいろな関連の事業者さんたちに裨益をする。
あるいは、企業自身が世界で事業を拡大いたしますと、それを通じて料金が下がったりサービスが改善したりということで、我が国の国民にも利益が還元されるものだというふうに考えてございます。
○梅村委員 それでは、NTTドコモが撤退の事例が新聞報道にもなっていましたけれども、その事案について、どのような内容かもお答えいただきたいと思います。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
NTTドコモは、二〇〇九年にインドにおけますタタ・テレサービシズという移動通信会社の株式の二六%を取得し、タタ・ドコモのブランドでインドにおけます携帯電話サービスを開始いたしました。
しかしながら、二〇一一年に、携帯用の周波数の割り当てをめぐる不正が明らかとなりまして、現職の通信大臣が逮捕され、その後、それまで割り当てられていた周波数が無効化されるなど、出資当初は想定していなかった規制面でのリスクが顕在化し、加入者数も伸び悩んだことから、二〇一四年の四月にNTTドコモはTTSL、タタ・テレサービシズの株式を全て売却する方針を発表いたしました。
現在、NTTドコモは、タタ・テレサービシズの親会社であるタタ・サンズという会社と撤退に向けて交渉中であると聞いてございます。
○梅村委員 それでは、今後はそういうリスクも政府がしょって、また、そういうNTTも含めて、官民ファンドで支援していくこともあるということでよろしいでしょうか。
○鈴木政府参考人 何度も申し上げていますように、今回のように、まさに政権がかわって規制が変わって、それによって事業がうまくいかなくなるということから、どうしても日本の企業が海外進出、特に途上国に対する進出というのをちゅうちょする面がございます。
そういったところに対して、政府が出資面でのリスクの一部を負担するということによってリスクの軽減を図りまして、やはり今世界で競争状態になってございますので、世界マーケットに日本企業たちがどんどん出ていっていただく。
そういうことによって、世界の需要を取り込み、収益性を向上させて、もって国内の経済の好循環を達成し、国民に還元をしていただくということを期待してございます。
○梅村委員 リスクがあって当たり前ということですけれども、もし大きな損失が出れば、それは国民の血税で賄うようになるからこそ、この場で議論し、また慎重な議論が必要だということを訴えさせていただいておるわけです。
しかも、このような事業展開をした結果、NTTはさらに今、中期経営計画の中で、EPS、一株当たりの利益の成長に力を入れ、海外での利益を二〇一八年三月期において二〇一五年三月期比で二倍以上にする目標を持っている。さらに、コスト削減として、二〇一五年三月期比で六千億円を目指すなど、NTTはコスト削減と海外での利益成長を主眼に置いているような経営姿勢をとっております。これでどうして国民に還元するという姿勢が見えるのか。
つまり、それは、ユニバーサル制度の問題が今議論されていると思いますけれども、採算性などから見直しを求めるなどして、総務省の情報通信審議会においても、固定電話を当分の間ユニバーサル制度において維持するのが適当とされました。
しかし、NTTは、国内事業、ユニバーサルに関する設備更新対策が求められるが、その対策が見えてこないということで、非常に国内のユニバーサルを、言葉はあれかもしれないけれども、軽視しながら、国際分野における利益成長を主眼に置いたような事業計画があるのではないかというふうに見受けられます。
やはりこうした姿勢を見ると、ファンドがリスクを背負って、そしてそれは国民の血税にはね返ってくるわけであって、そういう国民への影響、損害はないのか、国民に対して本当に波及があるのかということは疑念に思うわけであります。
その点はいかがでしょうか。
○鈴木政府参考人 委員御指摘のように、確かに今回設立しようとしてございます機構につきましては、まさに公的資金を活用させていただくということですので、その公的資金を効果的かつ効率的に使っていただくように、機構におきましては業務の運営とか組織管理をしっかりやっていただくということが必要と認識してございます。
ただ、国内は人口減少等に伴いまして需要が減少する一方、海外のマーケットは今伸びていくという状況でございますので、そういった海外の需要を取り込み、国内企業、産業の収益性を上げていくということを通じまして、他方で、私どもも、通信、放送分野の規制をきちんとし、競争も進め、国民にその成果が還元されるという方策もとりまして、国民全体の便益が向上するというようなことを目指してまいりたいと考えてございます。
○梅村委員 最後になりますけれども、この機構についてさまざまな問題が今指摘されてまいりました、私の前の皆さんの質問の中でも。
そういう中で、国民の血税で賄うことになっては絶対にならないわけで、先ほども決意が聞かれましたけれども、高市大臣に、その支援基準やリスク対策など、現時点で、やはり国民を守っていく、そういう立場で決意やお考えを伺いたいというふうに思います。
○高市国務大臣 まず、機構は、今局長が申し上げましたとおり、公的資金を活用するものですから、機構の設立後、申請のあった案件につきましては、機構において、総務大臣が策定する支援基準に基づいて、事業の将来性や収益性をしっかりと審査していくということとともに、総務省におきましても、当該案件が支援基準に適合しているかどうかについて審査をし、総務大臣が支援決定の認可を行います。
それから、支援決定後においても、機構において案件ごとに十分なモニタリングを行いまして、個別案件のリスク管理に努めていくということになります。
この個別案件のリスク状況を見定めつつ、出資全体としての元本確保を図るポートフォリオマネジメントによって、出資金の毀損を回避し、一定の利益を確保できるように、総務大臣としてしっかりと監督をしてまいります。
○梅村委員 そもそも、電気通信、放送、郵便事業は、公共性の高い分野です。ユニバーサルサービスや公共の福祉を支える役割を担っている事業者に、収益性の向上を求め、リスクの大きな海外展開を後押ししていけば、国内事業と国民にも重大な影響を及ぼしかねないと考えるものです。
今、国民生活を考えるとき、総務省、国がやるべき仕事は、やはり経済成長の点でいっても、GDPの六割を占める個人消費を直接温める、国民の暮らしと中小企業、中小業者の営業を直接温める施策、こういう点をもっと広げていく努力をされる、経済成長を進めるべきであることを申し上げて、質問を終わりたいと思います。