日本共産党の梅村さえこ議員は21日の衆院総務委員会で、夜間中学の拡充の推進を求めました。
梅村氏は、教育機会確保法が「夜間中学の設置を義務づけていると考えていいか」と質問。文科省は「すべての地方公共団体に対して必要な措置を講じるものとするとしている」と応じました。
「各都道府県に少なくとも一つは早急に設置されることが欠かせない」と強調した梅村氏に対して、文科省の初等中等教育局長は「そのように設置を推進していきたい」と答えました。さらに梅村氏が、長年、義務教育未修了者の学習権保障に取り組んできた「自主夜間中学」や「公立夜間中学をつくる会」について「設置に向けた『協議会』にそのメンバーを入れるべきではないか」と質問したのに対して、「(自治体に)協議、検討をしてもらいたいと考えている」と応じました。
また梅村氏が、2020年の大型国勢調査で義務教育の未終了状況をつかむため、小中学校を区別して把握すべきだと求めたのに対し、総務省統計局長は7月に試験調査を実施することを明らかにしました。
梅村氏は、夜間中学の新設準備を前向きに検討している自治体が13県あることに触れ、「具体的な設置に向けてこれからが正念場だ。法に伴う地方公共団体の役割を見直し、新設に当たっての財政措置の拡充が求められている」と強調。高市早苗総務相は「さらなる設置の促進に向けて対応していきたい」と答えました。
【「しんぶん赤旗」2017年2月22日付】
ー会議録ー
○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
きょうは、二つのテーマについて伺います。
まず、夜間中学について伺います。
義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が施行されました。このうち、夜間中学について、第十四条では、地方公共団体に公立の夜間中学の設置を義務づけているとまず考えてよろしいでしょうか。確認させてください。
〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十二月に成立いたしました、委員御指摘のいわゆる教育機会確保法におきましては、第十四条で、「地方公共団体は、」「夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。」としておりまして、全ての地方公共団体に対して、夜間中学の設置を含む必要な措置を行うことを義務づけるものとなっております。
これを受けまして、地方公共団体におきましては、夜間中学を新たに設置することや、夜間中学を既に設置している場合には受け入れる対象生徒の拡大を図ることなどに取り組むことが求められます。
また、近隣の市町村と連携協力して就学機会の提供を図るなどの理由から、夜間中学を設置しない場合においても、例えば、他の市町村の夜間中学の設置、運営に関する経費の一部の分担、あるいは、就学機会につながるいわゆる自主夜間中学等での学習活動の支援などに取り組むことが必要と考えております。
○梅村委員 ただいまの質問は、設置を義務づけていますかという質問だけだったので、もうこれから質問しようと思うことがかなり先に御答弁いただいた形になってしまうんですけれども、さらに確認する形で進めさせていただきたいというふうに思います。
今の御答弁で、地方公共団体に公立の夜間中学を設置、義務づけているというふうに考えていいという御答弁だったというふうに思います。
さらに、第十四条の趣旨を踏まえると、各都道府県に少なくとも一つは早急に設置されるようにすることが欠かせないということで、これは今ありましたけれども、そういうことでよいかどうかだけ御答弁ください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
夜間中学につきましては、義務教育未修了のまま学齢を超過した方々、あるいは本国において義務教育を修了していない外国人などの就学機会の確保に重要な役割を果たしているところでございます。また、今後は、不登校等によって実質的に十分な教育を受けることのないまま中学校を卒業した者の受け入れという役割も期待されているところでございます。
こうした中で、現在、夜間中学の設置につきましては全国で八都道府県三十一校にとどまっているところでございまして、文部科学省といたしましては、各都道府県ごとに少なくとも一つは夜間中学が設置されるように、その設置を促進してまいりたいと考えております。
○梅村委員 各都道府県に少なくとも一つは早急に設置をするように、促進したいということだったというふうに思います。
それで、この取り組みは、全国夜間中学研究会は、一九五四年の発足以来、実に半世紀にわたって声を上げてこられました。また、自主夜間中学や公立夜間中学をつくる会の皆さんも、長年、義務教育未修了者の学習権の保障のために夜間中学の整備を求めてこられたというふうに思います。こうした全国各地の関係者の皆さんの長年の念願がようやく第一歩を踏み出したものであり、極めて重要だというふうに思います。
そこで確認をいたしますが、法律の第十五条には設置に向けた協議会があります。その構成に自主夜間中学や公立夜間中学をつくる会などをメンバーに入れるべきと考えますが、どのような認識でしょうか。
この問題だけに答えていただけますか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の教育機会確保法第十五条第二項第三号におきましては、ここで定めます協議会の構成員といたしまして、学齢超過者のうち就学機会を希望する者に対する支援活動を行う民間の団体その他の当該都道府県及び当該市町村が必要と認める者が挙げられておりまして、文部科学省といたしましては、各地方公共団体において、こうした協議会の仕組みも活用しながら、関係する委員御指摘の民間団体等も含めまして、協議、検討を進めていただきたいと考えております。
○梅村委員 ぜひ、現場の積極的な経験を生かすためにも、今の御答弁、実行していただきたいというふうに思います。
そして、配付資料一にありますように、現在、二〇一〇年の国勢調査に基づく義務教育未修了者は十二万八千百八十七人となります。それに対して、今も御答弁にありましたけれども、公立の夜間中学校は、今あるところを丸にしてありますけれども、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、奈良、広島の八都府県、二十五市区において三十一校となっています。ですので、圧倒的多数、三十九道県は公立の夜間中学がない道県であり、ここでの設置が今後大きな焦点になると考えます。そして、既存の公立の夜中、自主夜中の拡充も大事だというふうに思います。
私の地元の埼玉県川口市では、六人からスタートをした自主夜間中学が三十一年にもわたって週二回開設し続けられ、同時に、埼玉から都内の夜間中学に通った生徒は延べ千人以上にもなることなどを踏まえ、埼玉にも公立の夜間中学をとの運動が続けてこられました。
国会とともに、県会、市町村会でもこれまでにない超党派の取り組みになり、御地元の新藤元総務大臣を初め多くの議員の皆様の御尽力があったというふうに思います。ただ、これからが設置に向けて正念場だというふうに思います。
そこで、一つ確認をさせていただきたいと思います。
義務教育未修了者の数を政府調査として出すことが大事だと思いますが、それは国勢調査しかありません。私も、一昨年の当委員会で、国勢調査の教育項目を変更し、最終卒業学校について小中学を区分して把握すべきではないかと質問をいたしました。そのときは積極的に検討するとの御答弁がありましたが、二〇二〇年の大型国勢調査に間に合うのか、その後の検討状況を確認させていただきたいと思います。
〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
○会田政府参考人 お答えいたします。
国勢調査におきましては、統計法に基づきまして、大規模調査を十年ごとに実施しまして、その中間年に簡易調査を実施しております。教育につきましては、大規模調査において調査事項が設けられているところでございます。
大規模調査である平成二十二年の調査項目は、最終卒業学校の種類を選択してもらうものでありますけれども、小学校卒と中学校卒は義務教育としてまとめた選択肢となっているところでございます。
御指摘の、小学校を卒業したけれども中学校を卒業していない方を把握できるような調査項目とすることが可能かどうかは、本年七月に実施いたします第一次試験調査により検証を行うこととしております。
今後、平成三十二年の国勢調査に向けまして、当該調査項目の必要性はもとより、正確に記入されるかどうか、報告していただく国民の方々の負担が過度にならないかなど、さまざまな観点から総合的に検討を行ってまいりたいと考えております。
○梅村委員 まずはそういう方向で検討が始まり、七月の第一次試験調査も行われる段階に来ているということですので、ぜひそういう方向で実現するよう重ねて要望したいというふうに思います。
さて、具体的な設置への問題ですけれども、前向きな検討を始めている都道府県もあろうかと思います。そこで、未設置の都道府県で、夜間中学新設準備にかかわる調査研究の委託を受けて課題等、検討を始めているところは幾つあるか、お答えください。これは数だけで大丈夫ですので、長くは。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の事業につきましては、夜間中学が未設置である道県のうち、全国で十三の県で設置に向けての調査研究を既に実施しているところでございます。
○梅村委員 ありがとうございます。
既に御答弁のように、十三県が、国の助成も受けて、夜間中学新設準備に向けて調査研究、検討課題を始めているということだというふうに思います。準備が順調に進んでいけば、二年後ぐらいからの新たな新設も不可能ではないというふうにも思います。
同時に、そのためには、さまざまな具体的な課題が声としても上がってきていると思います。例えば、教員の配置の問題、遠方からも通いやすい場所の設置確保、教室や職員室などの確保、教科書、給食、就学援助など、さまざまあるというふうに思います。これらは、これまでも義務教育費国庫負担金や国庫補助、交付金や都道府県や市町村負担等、それへの国の裏負担などでさまざまやられてきている問題だというふうに思います。新たな設置となれば、新たな地方財政措置が必要となります。
特に、夜間中学は市町村を超えて集まってくるので、その地方負担をどうするかを調整、考えなければいけませんし、義務教育未修了者への学習権の保障として考えれば、同じ学校で学んでいる人たちが、住んでいるところの違いによって、修学旅行費や給食費負担の違いなどがあるということも考えなければいけない問題だというふうに思います。
こうした問題を含めまして、改めて、夜間中学の拡充推進法に伴う地方公共団体の役割、そして新設に当たっての地方財政措置のふさわしい拡充などがいよいよ求められていると思いますので、ここで総務大臣に御認識を伺いたいというふうに思います。
○高市国務大臣 夜間中学の重要性については、私も大変強い問題意識を持っております。
奈良県には三カ所あるんですけれども、一つは選挙区内にございますし、一つは私の母校でございます。そんなわけで、多くの学んでおられる方々と接するんですが、かなり御高齢になられてから、戦中戦後の混乱期で全く学ぶ機会がなかったということで、夜間中学に入られたおかげで、それまで字が読めなかった、書けなかった、それによって、普通に生活していく上で必要な情報が得られなかった、また、職場で出世の機会を諦めた、そんな方々が今学ぶことによって、自信をつけ、また生活でもとても便利になった、安全になった、そんなお声も伺っています。
設置を進めると同時に、やはりちょっと広報が足りないなということも感じております。学校によっては、天理北中学校なんかは学園祭をしていて、でも、それも生徒さんがチラシを配って、できるだけ多くの人に知っていただく努力をしておられるというようなことです。
地方財政措置ということで申し上げますと、市町村が新たに夜間中学を設置する場合に、それに伴って増加する教職員に係る都道府県の給与負担につきましては義務教育費国庫負担金の対象となりますので、その地方負担については適切に地方財政措置を講じております。
夜間中学の大切な役割に鑑みまして、さらなる設置の促進に向けて、文部科学省のお話もよく伺いながら、適切に総務省が対応してまいります。
○梅村委員 今、夜間中学の本当に大事な役割についても、御自身の御経験からお話ししていただきました。ぜひ、たくさんの方々の希望に沿うような設置が一日も早く実現するように、御努力を重ねてお願いしたいというふうに思います。
次に、JRの蕨駅での視覚障害者の転落事故について伺いたいというふうに思います。
駅での転落事故については、公共交通事業者の果たすべき責務と同時に、国と地方公共団体の役割という点も私は大事だというふうに思います。
この事故は、一月十四日の朝、盲導犬と一緒だった視覚障害者の方がJR蕨駅の線路に落ちて亡くなるという大変痛ましい事故でありました。改めて心より御冥福をお祈りしたいと思います。
私自身の住む町であり、毎日この駅を利用していますので、一報に大きな衝撃を受け、その日の夕方、事故現場に行き、手を合わさせていただくとともに、JR東日本支社の職員や駅助役さんからも状況を聞き、その場でホームドアの前倒しやマンパワーの強化を要望しました。
そこで、まず確認したいんですけれども、蕨駅の一月の事故は、昨年八月の東京地下鉄銀座線での視覚障害者の転落事故を受けて、国交省として駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置し、十二月に中間の取りまとめが出される中で起こりました。しかも、JR東日本は声かけ、サポート強化キャンペーン中でした。
そういう中にもかかわらず、五カ月間でまた視覚障害者の方が転落して亡くなるという事故、なぜ再発防止ができなかったのか。そして、中間取りまとめだけではなく、繰り返されるこうした事故については、交通政策基本計画において二〇二〇年までに八百駅という設置目標をやはり早急に見直すなどして、国として抜本的に対策強化に乗り出すべきだと考えますが、この点、いかがでしょうか。
○根本大臣政務官 駅ホームにおける転落事故防止は、視覚障害者の方を初め、全ての旅客にとって大変重要な課題であると認識しております。
昨年八月に発生した銀座線青山一丁目駅における視覚障害者の方の転落死亡事故を受けて、国土交通省において駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置し、昨年末に、ハード、ソフト両面における総合的な転落防止対策を取りまとめました。
このような中、一月十四日に、JR東日本京浜東北線蕨駅において、盲導犬を使用した視覚障害者の方が転落して亡くなられる事故が発生したことを重く受けとめております。お亡くなりになられた方の御冥福を心からお祈り申し上げます。
この転落防止対策の取りまとめにおいて、ハード面の対策であるホームドアについては、一日当たりの利用者数が十万人以上の駅のうち、車両の扉位置が一定などによりホームドア整備が可能な駅について、原則として平成三十二年度までに整備を行うものとしております。利用者数十万人未満の駅についても、駅の状況等を勘案した上で、必要と認められる場合には整備をしてまいります。
車両の扉位置のふぞろいやコスト面の課題に対応可能な新たなタイプのホームドアの技術開発を促進し、その導入を促進することなど等により、ホームドア整備の加速化を図ってまいります。
こうした取り組みにおいて、平成二十七年二月に作成された交通政策基本計画において平成三十二年度に約八百駅としている整備目標について、できる限り前倒しを図ってまいります。
さらに、ソフト面においても、申し出があった視覚障害者の方に対する駅員による誘導案内や、転落の危険時に視覚障害者が明確に気づく声かけの実施など、駅員による対応の強化を図ることとしております。また、旅客による声かけや誘導案内の促進、いわゆる歩きスマホなどの迷惑行為を行わないようにするための啓発活動を行っていくこととしております。
これらについては、本年一月十四日に発生した京浜東北線蕨駅における転落死亡事故を踏まえ、国土交通省から各鉄道事業者に対し、改めて現場への周知徹底を要請したところです。
こうした転落防止対策の実効性を確保するため、国土交通省において、検討会を活用した進捗管理を行い、鉄道事業者の積極的な取り組みを促すこととしており、引き続き、駅ホームの安全性確保に向けて最大限の取り組みを進めてまいります。
○梅村委員 御質問したのは、五カ月でまた起きたわけです。中間取りまとめも行われていたので、なぜ再発防止ができなかったのかという点。
今、中間の取りまとめの内容を先に全てお答えいただいた形なんですけれども、なぜその議論をしている最中に、しかも、JR東日本は声かけ、サポート強化期間ということで、もう絶対事故を起こさないんだという中で再び起こったわけですので、そこら辺をどういうふうに考えていらっしゃるのかを確認させていただきたいというふうに思います。
○潮崎政府参考人 御指摘のとおり、十二月に中間取りまとめをして、その後の一月にこの蕨の事故がまた発生してしまったことはそのとおりでございます。
私どもも、ホームドアの整備促進をとにかく図るということが非常に効果的な策だと思っておりますが、それまでの間、なかなか時間もかかる施策でございますので、できるだけ駅員による誘導案内等を強化する、これでもってフォローをしたいということをあわせて今回の取りまとめで打ち出して、それを徹底している最中でございましたが、やはり不幸にしてこういう事故が起こってしまったということで、先ほど政務官からも申し上げましたが、この事故の後、改めてその趣旨を各鉄道事業者に現場に対して周知徹底するということをさせていただいたところでございます。
○梅村委員 後でその問題は御質問したいと思いますけれども、中間取りまとめで、設置をしていくということとソフト面を重視するということでしたけれども、私は、駅の皆さんに聞きましたけれども、全くそういう内容は現場に伝わっていないということをまた後でも申し述べたいというふうに思います。
と同時に、やはり視覚障害者の皆さん自身にとってみると、今の御答弁を聞いても納得できないというふうに思うんですよ。それはかねてから、再発防止をしてほしいとずっと危険性を繰り返し繰り返し訴えられてきています。
私、きのう、視覚障害者の方から直接お話を伺う機会がありました。二〇二〇年にホームドアをつける予定だったということでは説明にはならない、しかも、亡くなってからでは遅いんだ、ホームドアがつくまで危険な中で我慢しろというのか、ホームドアがすぐつかないならホームに駅員をもっと配置せよ、ホームドア設置そのものにもっと抜本的に動き出すべきだと。こういう視覚障害者の皆さんの声は、私は当然のことだというふうに思います。
そこで、中間まとめに基づいて、もう少し具体的に伺っていきたいというふうに思います。
これまでどんなペースでホームドアの設置が進んでいたのかを確認させていただきたいと思います。二〇一五年末の設置駅は今幾つになっているのか、御答弁いただきたいと思います。
○潮崎政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一五年度末におけるホームドアの設置駅、全部で五百十九駅でございました。
○梅村委員 事前に六百六十五と聞いていたような気がしたんですけれども、五百十九ですか。
○潮崎政府参考人 大変失礼申し上げました。訂正申し上げます。
二〇一五年度末、平成二十七年度末の設置駅は六百六十五駅でございます。間違いございません。失礼いたしました。
○梅村委員 全国には九千五百の駅がありますから、六百六十五駅だと七%の設置率というふうになるかと思います。
それで、もう御答弁があったんですけれども、中間まとめでは利用客十万人以上の駅を優先的に行うということでしたけれども、十万人以上の駅の二〇一一年と二〇一五年の数を比べると、何駅から何駅になったのか。これは中間取りまとめの中にある数字ですので、すぐ答えていただけると思うんですけれども、御答弁をお願いします。
○潮崎政府参考人 先ほど私が申し上げました全国の設置駅、二〇一一年度末における数字が五百十九駅で、一五年度末が六百六十五駅でございました。
また、乗降客数十万人以上の駅におきましては、二〇一一年度末が三十駅、それから二〇一五年度末が八十二駅となってございます。
○梅村委員 八十二駅ということです。これは、二百六十駅が利用客十万人以上だと、分母が二百六十駅となると思いますので、整備率は約三割かというふうに思います。
この到達について、中間取りまとめでは、「整備率は約三割であり、更なる取組が必要な状況となっている。」という表現となっています。これは、まだまだおくれているというふうに認識していらっしゃると考えてよろしいんでしょうか。
○潮崎政府参考人 私ども、平成二十三年以降、利用者十万人以上の駅に設置するという方針のもとに整備を進めて、この間、三十駅から八十二駅と着実にふえてきたと考えておりますが、それでも、確かに御指摘のとおり、全体の比率から見れば三割でございまして、これをさらに今般の取りまとめに基づいて推進していく必要があると考えております。
○梅村委員 今の御答弁のように、利用客十万人以上のホームドアを優先してつけるというのは、初めてそういう方針が掲げられたのではなく、おっしゃるように、もう二〇一一年のときから掲げてやってこられたというふうに思います。
それでもやはり進捗率が三割、事故が起こっているという状況を考えると、その速度を抜本的に速めていくということが必要かというふうに思います。先ほども、基本計画の八百駅の前倒しということも考えるということだったというふうに思います。
そのためにはやはり、事業者任せにするのではなくて、駅のホームドアについてはしっかりと事業者に義務づけをさせていく、そのもとで国もしっかりと点検、指導を行っていくというようなことが必要なのではないかというふうに思います。
そもそもバリアフリー法では、バリアフリー法ができた後に新しく設置をした駅についてはホームドアが義務づけられているんですけれども、その前につくられた駅については法律では義務づけられていないのではないかなというふうに思います。
もちろん、特急がとまるところと普通電車がとまるところとドアが一致しないので、技術的に大変難しい問題がたくさんあるということは十分承知をしております。それでも、やはり視覚障害者の人の一人でも命を失ってはならないというふうに考えれば、やはり、その進捗率、頑張っているんだということではなくて、その前倒しをしていくということ、そして何よりも法律で義務づけていくということも必要ではないかというふうに思いますが、その点、いかがお考えでしょうか。
○潮崎政府参考人 私ども、今回、昨年十二月に取りまとめました検討会の中間取りまとめにおきまして、鉄道事業者は、毎年度、ホームドアや内方線つき点状ブロックというのもございますけれども、そうしたハード面の整備や、先ほど申し上げましたソフト面の対策等につきまして、方針や計画を策定するということを取り決めました。
今後、国土交通省においては、この検討会を活用しまして、進捗管理を実施して、その進捗の状況を、鉄道事業者の取り組み状況などを公表することによりまして、より積極的な取り組みを促してまいりたいと考えております。
既設の駅につきましては、やはり、もともと我が国の駅のホームというのはこうしたものをつけるという構造になっておりませんでしたので、非常に、ホーム自体から抜本的に改造するところが必要であるとか、あるいは列車の運行頻度や利用者の混雑状況等もまちまちでございまして、そうした駅の状況に応じたきめの細かい計画の立案と対応が必要でございますので、まずは、こうした事業者も入った検討会の中で、このように進めるという計画をつくって、それを私どもがしっかりと毎年進捗管理するという方法でもって、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○梅村委員 今までもそういう立場で多分やってこられたと思いますので、私は、事故が立て続けに起こっている際には、やはり緊急対策なり、抜本的に対策を打ち直す必要があるのではないかなというふうに思います。
それで、資料を見ていただきたいと思うんですけれども、資料二のところに、二〇〇九年から二〇一五年、七年間に一体どれだけの人がホームから転落しているのか、ホームでの接触事故があるのか、それを全体の数と、うち視覚障害者の皆さんで分けて書いてあります。
これを見ていただくとずばりわかりますように、ホームからの転落というのは毎年二千件から三千件あります。そして、全体を見ましても、二〇〇九年二千六百三十五件だったのが、二〇一五年三千七百十六件ということで、一・四倍かふえてきているわけですね。ホームドアをつくってもつくっても、まだ転落する方々というのはふえているし、これを合計すると、トータルすると、二万三千六百二名の方が落ちたり、接触しているというのは、本当に公共交通機関としては危ない事態が続いているんだというふうに思います。
うち視覚障害者の方々が転落、接触事故、どれぐらいあったかというと、二〇〇九年が三十九件に対し、二〇一五年には何と九十四件で、トータルして五百二十件、二・四倍かにもなっているわけですね。ホームドアをつける努力をしていても、こういうふうにむしろふえている。
しかも、事故は、もう一枚次の資料三にありますように、二〇一〇年のときはお一人亡くなり、二〇一一年はお二人亡くなり、二〇一四年にはお二人亡くなり、そして、とうとう二〇一六年の今年度は三名、この数年間にはない、一番多い視覚障害者の死者になってきているわけですね。
ホームドアをふやしているのに、こういう件数がむしろ減らない、ふえているというのはどういう点に理由があるとお考えでしょうか。
○潮崎政府参考人 ただいま御指摘のとおり、統計上、今御利用いただいたような数字になっていることは確かでございます。
私どもも、こういうような傾向にあるのはどういう理由になっているのかというのは、正直申し上げまして、現在もはっきり分析できておりません、そこのところは。
ただ、一つ、想定されることとしては、十数年前から、転落防止対策の一環として、駅に非常押しボタンの設置ですとか転落検知マットの設置、転落してしまったときにすぐに列車をとめて極力事故にならないようにする、そういう対策をかなりの駅にやってまいりました。
そうしますと、例えばこれまでは、御本人が落ちられて、転落して、そのまま上がってしまえばわからなかった事故が、周りのお客さんなんかが非常押しボタンを押すことによって事故と認知されるとか、そういうような状況というのは以前に比べればふえているのではないかと思います。
したがって、そうしたことも背景にあるのではないかと推定はしておりますが、これがなぜふえているのかということは、はっきりとした見解はちょっと持っておりません。
○梅村委員 ホームドアをつけて安全性を管理するといいながら、ホームドアをつけても、転落や、そして視覚障害者の亡くなる方が逆に発生し、転落も視覚障害者の転落もふえているということについて、はっきり分析できていないという御答弁にはちょっと私はびっくりしてしまったんですけれども、ぜひこの点を分析していただきたいというふうに思います。
私自身考えるのは、非常に通勤客や乗る方もふえホームが混雑する、そして、そういう中で駅員さんも少なくなる、そういう中でホームドアをつくっていても、危険性に対して絶対数そのものが追いついていない、絶対数がやはり少ないということも私は一つ大きな要因なのではないかなというふうに思います。
ですから、この点においても、今、ホームドアをつけて、なくそうというその方向性は一つは間違っていないと思いますので、もっと進捗を早くし、いわゆる絶対数をふやしていくというところに挑戦しないと、こういう状況というのは横ばいやふえていくということもあるのではないかなと考えるところです。
そういう意味で申しますと、絶対数が足りないということについて、国が抜本的にこういうホームドアの引き上げについても力を注いでいく必要もあるのかなというふうにも思っています。
そこで、時間がありませんので、資料のところで、国交省からのホームドアについての補助制度が幾つかあるということですので、こういう制度を積極的に使っていく必要があると思います。
こういう制度を受けて、蕨の市長さんも、一七年度中に工事に入ってもらうためには財政的な支援が必要だということで、市としても積極的に対応したいけれども、県としてもお願いしたいと。つまり、事業者が三分の一、国が三分の一、地方公共団体が三分の一、そういう制度があるというふうに思いますけれども、どこかが手を挙げなければこれは成り立たないというふうに事前に聞きました。
ですので、市の方が、住民の命を守るためにやはりぜひ積極的に使ってくれということが、地元の公共団体の長さんからも、川崎市もそうですけれども、出てきているというふうに思いますので、ぜひ、こういう申し入れなどにも基づきまして、地方公共団体の役割が求められていると思います。
最後に、高市大臣の方に、こうした事故における、また、ホームドア、安全な駅をつくっていくこととの関係での自治体の役割と、そしてホームドアについては、先ほど御紹介しましたように、地方財政措置が必要ですので、その地方財政措置についての御認識を伺いたいというふうに思います。
○高市国務大臣 バリアフリー法におきましては、地方自治体に対しましても、国の施策に準じて、高齢者、障害者等の移動や施設利用の円滑化を促進するために必要な措置を講じるべき努力義務を規定しています。
こうした趣旨も踏まえまして、総務省としましては、ホームドアやエレベーターの設置など、民間事業者等が実施する鉄道駅のバリアフリー化について地方自治体が補助を行う場合には、特別交付税措置を講じることにしています。
また、バリアフリー法に地方財政法の特例規定を設けることによりまして、地方自治体が民間事業者に対して行う補助の財源に地方債を活用することも可能としております。
本当に、こういった地方財政措置もございますので、地方自治体において、それぞれの地域の実情に合わせて適切な対応が行われるということを期待しますし、引き続き支援をしてまいります。
○梅村委員 二度と悲劇を生まないよう、リニアなどへの税金投入ではなく、ホームドアに優先的にお金を使い、事業者も国も地方自治体も全力を挙げること、そのための抜本的財政措置を求めて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。