日本共産党の梅村さえこ議員は、23日の衆院総務員会で、通販大手「アスクル」の物流倉庫(埼玉県三芳町)で発生した火災を契機に、国として大型物流倉庫の防火対策の実態把握と、火災が起きた場合の対策を検討するよう求めました。
梅村氏が「長期にわたる倉庫災害で例をみないものではないか」と質問したのに対し、大庭誠司消防庁次長は「床面積1万平方メートル以上の火災は過去10年間に2件、いずれも1日から2日で消火にいたっている」と述べました。
梅村氏は、「長期化の原因究明とともに、各地で大型物流拠点が建設されるもとで、消防庁はじめ、行政がどのよな対策をとってきたのか、大型倉庫の防火対策基準はどうあるべきかについて国会でも議論すべきだ」と主張しました。
梅村氏は、今回の火災では周辺住民の避難や、学校での屋外活動の中止、赤水の発生など深刻な被害が起きたことを示すとともに、全国で同様の大型物流倉庫の建設が相次いでいるとし、「国として全国的な大型倉庫の実態を緊急につかみ、ふさわしい防火対策と火災が起こった場合の避難や対策を打つべきだ」と迫りました。
高市早苗総務相は「まずは火災の調査と検証を行い、必要な対策は何か検討したい」と答えました。
【「しんぶん赤旗」2017年2月24日付】
ー会議録ー
○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
まず、地方交付税について伺います。
今回、地方交付税の人口減少等特別対策事業費は、取り組みの必要度から、取り組みの成果に応じた算定へさらにシフトしていくとされています。
地方六団体から、シフトは、努力している条件不利地域や財政力の弱い団体が地方創生の目的を達成できるよう長期の取り組みが必要としていますが、短期間に成果が出るとは言えない状況があることが指摘をされているかと思います。
また、人口増減率などを成果の指標にしています。知事会議の中で紹介されたアンケートでも、成果には、対策により改善が困難な人口の自然増減率などが指標となっている、財政力の弱い地方圏においては努力しても成果が上がらないなど、取り組みの成果として指標を反映させることがふさわしくない状況も生じ得るとの声も出ているかと思います。
一層のシフトはこのような点からやめるべきだと考えますが、総務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○高市国務大臣 平成二十七年度に創設しました人口減少等特別対策事業費につきましては、まち・ひと・しごと創生の取り組みの必要度により五千億円を、取り組みの成果により一千億円を算定してきております。
現在、各地方団体において地方創生の取り組みが進められて、経済、雇用や出産、子育てに関する指標が改善傾向にございます。つまり、成果があらわれつつあるということを踏まえまして、地方創生の取り組みを一層推進するために、平成二十九年度から三年間かけて段階的に、取り組みの必要度に応じた算定から、取り組みの成果に応じた算定にシフトすることとしています。
また、取り組みの成果にシフトするに当たりましては、地方団体の御意見もしっかり伺い、財政力が低く過疎法などの対象となっている団体について算定額の割り増しを行うなど、条件不利地域に配慮した算定を行うこととしております。
○梅村委員 成果というのは必要額ではないというふうに思います。地方交付税は必要額を確保するための算定を行うべきであることを強く要望、指摘をしておきたいというふうに思います。
続きまして、私の地元であります埼玉県の三芳町でのアスクルの火災。
昨日、菅官房長官が、反省すべきことが大いにある、どうして長期化したか徹底して調査をし、二度と長引くことがないように備える必要があると記者会見され、総務省消防庁も原因調査に昨日乗り出すことを決めたと聞きました。大変重要で、しっかりやっていただきたいというふうに思います。
地域住民への深刻な影響がありますので、幾つか伺いたいと思います。それで、時間の関係で少し質問の項目を少なくしたりしていますので、ぜひ質問に沿ってお願いしたいというふうに思います。
まず、この火災は十六日の午前に発生したと思います。昨日鎮圧、ほぼ消火されたということですが、七日火災が続きました。地元の埼玉新聞、上空から撮影した記事などを資料として出しております。そして、まだ鎮火には数日かかると聞いております。
こうした長期にわたる倉庫火災は余り例を見ないものであると思いますけれども、これについて伺いたいと思います。
○大庭政府参考人 お答えします。
この二月十六日に三芳町で発生しました倉庫火災は、二十二日九時半にほぼ消しとめられておりまして、現在は再燃防止活動を実施しておりまして、調査中ではありますけれども、焼損床面積約四万五千平米に及ぶ大規模なものとなりました。
消火活動に長時間を要した理由としては、火災初期段階から火勢が強く、防火シャッターや棚などで複雑な構造となっていたことから建物内部での継続的な消火活動が困難であったこと、あるいは、外壁には小さな開口部しかないことに加え、建物が百メーター掛ける二百四十メーター、軒高二十二メーターと非常に大きく、燃焼物に直接放水できないこと等が挙げられると聞いております。
過去の例でございますけれども、焼損床面積が一万平米以上となる大規模な倉庫火災は、過去十年間で二件発生して、いずれも一日から二日で消火に至っているところでございますが、これらは今回の三分の一程度の規模の倉庫でございまして、そのいずれ二件とも、窓などの開口部が少なく、消火に手間取り、ほぼ全焼したものと聞いております。
○梅村委員 過去の例を見ても、十年間で二件。しかも、これほどの広さの大型倉庫の火災は、過去に例がないという御答弁だったというふうに思います。まさに社会的に影響を与える火災だったというふうに思います。
それで、今、質問していないこともちょっと先に御答弁いただきましたので、長期化した理由について既に幾つか挙げていただきました。そして、一昨日の総務委員会でも高市大臣の方から、長期化した理由について、一つは、倉庫内部が棚などによって複雑な構造になって建物内での継続的な消火活動が困難であったこと、そして外壁には小さな開口部しかなかったこと、それに加えて、建物が大変巨大で燃焼物に直接放水ができなかったことなどが既に挙げられているかというふうに思います。
私は、既にこういう今ある御答弁だけを見ても、火災原因の究明とともに、やはり、今こういう大型の流通拠点が建設される中で、大型の倉庫が各地にふえてきているというふうに言われています。ですから、消防庁を初め行政がこれまでこうしたところにどういう対応をとってきたのか、また、大型倉庫の防火対策基準は今後どうあるべきか、今後国会でも、しっかりとそういう防火基準などについて、今回を踏まえて、踏み出して検討すべきではないかというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。
○大庭政府参考人 今回火災があった倉庫と同規模の大規模倉庫に対しまして、消防法では、消火器、屋内消火栓設備などの消火設備、自動火災報知設備といった消防用設備などのほか、防火管理者の選任、消防計画の作成などの防火対策を義務づけているところでございます。
今回火災があった倉庫につきましては、平成二十五年四月の使用開始時に管轄の入間東部地区消防組合消防本部におきまして検査を行っておりますが、当該検査におきましては、これらの防火対策についての不備事項はなかったと聞いております。
今後、消防庁といたしても調査をしてまいりたいと考えております。
○梅村委員 今の義務範囲といいますか、そういう中ではやることはやっていたという答弁だったというふうに思います。
それでも、こういう大規模な火災、しかも七日間、しかも周辺住民に対して非常に大きな影響を与える。資料の二ページ目にも、日経新聞の記事がありますけれども、大型物流倉庫に盲点、窓や扉少なく消火困難という指摘があります。
再度聞きたいと思いますけれども、こういうことを踏まえれば、その基準、そういうもの自身もこれまでのとおりでよかったのか。やはり、今はまだ原因究明ですのでそういう議論にはならないと思いますけれども、今後、抜本的にそういうところまで踏み込んだ防火基準などを国会で議論していくべきだと思います。その点は、もう一度いかがでしょうか。
○高市国務大臣 今回、本当に特異な火災と言っていいものであります。消火活動に約六日間を要したということでございますので。
このため、消防法第三十五条の三の二の規定に基づく消防庁長官の火災原因調査を行うこととしまして、きょうの朝から消防庁及び消防研究センターの職員を現地に派遣しています。一階、二階は午前到着した段階でほぼ鎮火していましたが、まだ三階部分で火がくすぶっている状況でしたが、可能な範囲で現場を確認しました。そして、あした以降もこの確認作業を行います。
今後、この調査によりまして、火災の原因のほか、事業所による初動対応の状況、それから建物の構造や区画など延焼拡大の要因についても検証をいたします。
その結果を踏まえて、同種の火災の再発防止策、それから消火活動体制の改善策など、必要な対策について検討をしてまいりたいと存じます。
○梅村委員 重要な問題ですので、しっかりと今後国会でも議論をしていきたいというふうに思います。
それで、周辺住民との関係を最後にお伺いしたいというふうに思います。
この間、先ほども指摘させていただいたように、大型物流拠点を確保するとの名目で、道路建設が進められ、各地で大型物流拠点が建設をされ、そして、今回のアスクルのような大型倉庫も各地で急増しているとも言われています。
まさにこの三芳町もそうでありまして、物流倉庫などがふえ、その流通、運搬をさらに加速させようと、国土交通省が関越自動車道の三芳スマートインターチェンジのフルインター化と車種変更の連結許可を決定し、今、事業が進められようとしているところです。
そもそも、これに対し地元の住民の皆さんは、静かな町に交通渋滞や事故がふえるのではないかという不安をお持ちでした。また、近くの小学校、中学校の前の道路が拡張され、歩道が縮小されようとしているのに、町民はほとんど知らされないままだという、かつて批判が上がってきた地域でもあります。そこへ今回の大型倉庫の火災が重なって、地域の皆さん、大変、不安を二重三重にしていらっしゃるということです。
周辺六世帯十六人に避難勧告が出され、三世帯十人がホテルなどに避難。新聞報道でも、近くの主婦の方が、ぜんそくを持つ子供さんを同級生のお宅に泊まらせ、そして自身のお宅は、黒煙で、家の中にいても鼻の中が真っ黒で、喉の痛みや吐き気、頭痛もあった、家の中はすすだらけで、布団も買いかえようかと考えている、こういう声が新聞でも紹介をされているところです。
さらに、資料の記事でもありますけれども、学校での屋外活動、部活動の中止。あと、赤水が出ております。そして、それに伴って病院の食事への影響も出ているということで、こうした地域住民への影響自身もしっかりと捉えて対策を打っていく必要があるかというふうに思います。
最後に、また総務大臣に伺います。
こういう大型の倉庫は、一旦火災が起こると長期化し、こうした周辺住民への影響が大変大きいということも明らかとなりました。それで、宇都宮市の消防局が、市内にある一万平方メートル以上の大規模倉庫二十カ所を対象に、倉庫特別査察を開始したと聞きました。
今、けさから消防庁も現地にということを聞きましたけれども、国としても、全国的な大型倉庫の実態を緊急につかんで、ふさわしい防火対策、再点検と課題の検討と同時に、やはり地元自治体と協力し、火事が起こった場合の避難や対策なども打つようにすべきではないかというふうに思いますけれども、この点での御答弁をお願いいたします。
○高市国務大臣 全国調査の実施ということでの御提案でございましたけれども、けさから調査に入っております。まずは、今回のこの特異な火災、特に長時間燃え続けた火災、この調査と検証をしっかりと行って、必要な対策は何かということを検討するところから始めさせていただきたいと思います。そして、必要な留意点について、また全国の自治体にしっかりと周知をしてまいります。
○梅村委員 栃木市でも既に、それぞれの自治体内での大型倉庫の特別査察などが行われているというふうに聞いております。今の火事を見て、うちの地域は大丈夫かというふうに不安に思っていらっしゃる地域住民の方も全国にいらっしゃると思いますので、今回起こった火事の原因究明、対策と同時に、そういう全国的な問題についても力を注いでいただきますことをお願い申し上げて、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。