梅村さえこ議員は11日の衆院総務委員会で、「できる限り人口密集地域を避けて飛行する」などとした日米合同委員会の合意に反して米海兵隊所属のMV22オスプレイが関東でも人口密集地で訓練していたこと市民の調査をもとに告発しました。
梅村氏は、3月6~17日にオスプレイ6機が参加した日米共同訓練「フォレスト・ライト02」について、埼玉平和委員会が集めた同機の目撃情報を紹介。東京の横田基地から群馬県や新潟県に向かったオスプレイが学校や病院など人口密集地を飛んでいたことを示し、「訓練飛行を通告なしに勝手に行っていたのは一目瞭然だ」と迫りました。
防衛省はオスプレイの飛行経路について「米軍の運用にかかわる」として答えませんでした。
梅村氏は、ハワイや沖縄でオスプレイが墜落し、国民が不安を抱える中で市民が調べなければ運用実態が明らかにならなのは問題だと批判。「大切な情報が国民に知らされていない。飛行ルート情報を公開すべきだ」と訴えました。
【「しんぶん赤旗」2017年4月14日付】
ー会議録ー
○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
きょうは、日米共同演習へのオスプレイ参加と自治体の役割について質問いたしたいと思います。
三月六日から十二日間、陸上自衛隊と米海兵隊との日米軍事演習が群馬県の相馬原演習場と新潟県の関山演習場で行われ、米海兵隊のMV22オスプレイが訓練に初参加をいたしました。
まず、参加と、中身について簡潔にお答えください。
〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
国内における米海兵隊との実動訓練、いわゆるフォレストライトにつきましては、陸上自衛隊及び米海兵隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合における相互連携要領を実行動により訓練し、日米それぞれの戦術技量の向上や、相互理解と意思疎通の促進、相互運用性の向上を図ることを目的とするものでございまして、平成二十九年三月六日から三月十七日にかけて、新潟県の関山演習場及び群馬県の相馬原演習場等において実施をしたところでございます。
本訓練の参加人数につきましては、自衛隊からは、東部方面隊第一二旅団第三〇普通科連隊、新潟県新発田駐屯地に所在する部隊でございますけれども、この部隊を基幹として約三百名が参加、それから、米軍につきましては、米海兵隊第三海兵師団第四海兵連隊の一個中隊、これは沖縄県のキャンプ・ハンセンに所在している部隊でございますけれども、こうした部隊を基幹として約四百五十名が参加をしたところでございます。
また、MV22オスプレイに係る訓練につきましては、より実戦的な空中機動作戦の演練を通じて双方の練度向上を図るため、主として、陸上自衛隊の航空機、UH60総数三機、CH47総数三機に加えまして、米海兵隊の航空機、MV22オスプレイ総数六機が飛来し、各機に日米の隊員が相互に搭乗し、ヘリボーン訓練、特殊卸下訓練、第一線救護訓練等を実施したところでございます。
関山演習場及び相馬原演習場において実施したフォレストライトに合わせてオスプレイが訓練したのは、今回が初めてのことでございました。
○梅村委員 今の御答弁にもありましたように、共同演習、前回、二〇一四年に行われていると思いますが、参加規模が二倍以上になっていますし、今回、オスプレイが初めてその訓練に参加をしたということです。
そして、このオスプレイ六機ですけれども、そもそも、三月五日に米軍の横田基地に飛来し、二十二日に普天間基地に戻るまでの約半月以上、横田基地を拠点に、共同訓練のほかも含めて、関東甲信越、福島、静岡などで訓練を繰り広げました。特に、横田基地での離発着は百四回にも上ります。
各地で飛行が目撃をされ、例えば、群馬県では、高崎市や前橋市などの住宅街上空、群馬大附属病院や学校の上を飛んでいったという目撃情報もあり、低空飛行、いつもの空域と違うところの飛行、そして騒音もひどかったというお声を私どもも聞いております。
そこで、高市大臣に伺いたいと思います。
例えば、群馬の昭和村長も、住民の安全を守る責任がある、訓練内容についてもできる限り地域に教えてもらいたい、伝えてもらいたい、沼田市長は、飛んできてもらっては困ると述べておられます。
そこで、確認ですけれども、自治体は、住民の不安を取り除き、安全、安心の確保の役割もあると思いますが、その点での御意見を伺いたいと思います。
○高市国務大臣 日米共同訓練につきましては、総務省の所管外でございますので、現在総務大臣の立場にある私からお答えすることは大変難しいということを御理解いただきたいと思います。
所管省において適切に対応されるべきものだと存じます。
○梅村委員 今、発言させていただきましたけれども、こういう飛行訓練のもとで、やはり自治体の長の皆さんや住民の皆さんが今どういう不安を持たれているかということをしっかりこの総務委員会でも捉えていただきたいというふうに思って、私はここで質問をさせていただいているところです。
今回、自治体、住民は、飛行ルートなど、全く情報がございません。その訓練内容もわからないまま、突然、普通に暮らしていた上空を、保育園、幼稚園や学校、病院の上で飛ぶ。三月上旬は、ちょうど学校は期末テストや入学試験の時期でもありました。しかも、十二月には沖縄でオスプレイの事故があり、まだ原因究明もされていない中ですから、もしこの上空で事故が起こったらというふうに住民の皆さんが思うのは私は当然のことだと思いますし、自治体はそういう不安を取り除く責務があるというふうに思います。
そこで、さらに確認したいんですけれども、御紹介したいんですけれども、では、どんなふうに飛んでいるのか。政府も米軍も明らかにしませんので、きょうは、三月九日の目撃情報を集めて、さいたま市浦和区高砂にある埼玉県平和委員会というところが地図にしたものを資料一と二で用意いたしました。
資料一をまず見ていただくと、三つの色の線があると思います。ブルーは機体一、これは横田基地から群馬の相馬原に行き、帰ってくる、赤は機体二、緑は機体五、この二つは横田基地から新潟の関山に行く流れとなっています。
これを見ますと、まず午前八時三十二分に一機のオスプレイが相馬原に向けて横田を飛び立ち、午後二時四十七分には二機が関山に向かったということです。横田から相馬原には片道二十分、関山には約四十分かかっているところでございます。
二枚目を見ていただくと、相馬原に行ったルートだけが抽出されております。これを見ていただくと、午後四時五十分に相馬原を飛び立ったオスプレイは、横田に帰還するのは午後五時十七分と、二十七分もかかっていることがわかります。
本庄市上空を四時五十五分、寄居町上空を四時五十七分に飛んだ後、東松山市から鴻巣市方面へ向けて飛んだことが午後五時に吉見で目撃されています。真っすぐ横田に帰還せずに、大きく東方面へコースを変えて、どこかでUターンしてきたということも推測されると思います。
また、戻っていただいて、赤の線で、関山、新潟の方に行くルートですけれども、午後四時四分に関山を離陸した二機も、四時四十一分に一度横田に着陸しながら、四時五十分に再び離陸、二十九分後の五時十九分に帰還。この間、飯能や日高市上空をおよそ三回にわたって旋回していたというような可能性がある、目撃情報があるわけでございます。
これは、あくまでも市民の皆さんの情報なんですけれども、そういうことが政府や米軍から明らかにされていないもとでは、やはり市民の皆さんが皆さんの目で、こういうふうに自分たちの上空がどうなっているかということをチェックするのは私は当たり前のことだというふうに思います。
それで、これを見ていただきますと、一目瞭然なのは、オスプレイは、自衛隊の演習場で訓練しただけではなく、横田から演習場の上空間で、通告もせず、さまざまな飛行を勝手に行っている、こういうことは明らかだというふうに思います。
そこで、確認をしたいのは、飛行訓練における日米合同会議の合意はどのようになっているのか、これを御答弁いただきたいと思います。
〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十四年九月十九日の日本国における新たな航空機(MV22)に関する日米合同委員会合意がございますが、この中におきまして、MV22オスプレイの我が国における運用に係る具体的な措置について、米側と合意をなされております。
その中では、米軍施設・区域の上空及び周辺における飛行経路について、進入及び出発経路を、できる限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるように設定すること、低空飛行訓練について、訓練航法経路を飛行する間、天候等の安全上の理由がある場合を除き、地上から五百フィート、メートルに直しますと約百五十メートルになりますけれども、五百フィート以上の高度で飛行することや、史跡、人口密集地域、学校、病院等の上空を避けて飛行すること、騒音については、米側が騒音規制措置に関する既存の合同委員会合意を引き続き遵守する意図を有することなどが定められているところでございます。
○梅村委員 今の御説明で、上空百五十メートルがいいのかどうかということについては大変意見がありますけれども、ただ、その合意の中におきまして、飛行計画、経路、時間帯などを事前に公表していく問題や、人口密集地や学校、病院など公共の建物の上空はなるべく避けるというような合意があるわけでございます。
ただ、そういうことからいいますと、先ほど御紹介した資料の一、二のルートは、御紹介したように、群馬大附属病院の上を通っていただとか、学校の上を通っただとか、高崎や前橋その他の人口密集地を通っていることは間違いありません。自宅上空を飛んだ方が言っていましたけれども、訓練空域と言われたことは私は一度もないということもおっしゃっております。
こういう事例からいうと、今回のさまざまな問題、日米合同会議の合意上問題があるのではないかという点についてはいかがお考えでしょうか。
○谷井政府参考人 お答えいたします。
先ほど答弁がありましたとおり、MV22オスプレイにつきましては、合同委員会合意で、米軍施設・区域の上空及び周辺における飛行経路につきまして、進入及び出発経路を、できる限り学校や病院を含む人口密集地域の上空を避けるようなどが合意されております。
今回のフォレストライト02に際しまして、米軍のMV22オスプレイの横田飛行場からの飛行経路につきましては、米軍の運用に関することでございまして、その詳細について承知しておりませんけれども、米側の方からも累次の機会に、この合意に基づき飛行運用を行っているという説明も受けております。
MV22の配備は我が国の安全保障に大変意味があるというふうに考えておりますけれども、その飛行運用に際しましては、安全確保はもとより、周辺住民の皆様方の生活への最大限の配慮が大前提でございます。
今後とも、米側と連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求め、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう対応してまいりたいと考えております。
○梅村委員 その点を踏まえれば、さまざまな問題点があるということだというふうに思います。
そこで、国交省に確認しますけれども、飛行ルートについて、そもそも、航空法ではオスプレイも飛行ルートは報告されなければならないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○坂野政府参考人 お答えいたします。
御指摘のオスプレイを含めまして米軍機が飛行する場合には、航空法第九十七条及び日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律に基づきまして、国土交通大臣に対して飛行計画の通報が必要となっております。
○梅村委員 ですから、今の御答弁だと、国交省の方では航空法に基づいてオスプレイの飛行ルートをつかんでいるということだというふうに思います。ただ、米側との関係でそれは公表できないということだと思いますけれども、やはり国交省がつかんでいらっしゃると。日本の空は一体誰のものなのかということで、これは私は公表されるべきだというふうに思います。
住民からの苦情の問題についてもあると思います。そして騒音の問題についても、北関東防衛局で測定していると聞いております。こういった問題については今後どのように対応されるのかをお聞きしたいと思います。
○谷井政府参考人 お答えいたします。
平成二十九年三月に実施いたしましたフォレストライト02に伴い、地域住民の方々から、オスプレイと思われる航空機の飛行に関して複数の苦情があったというふうに承知をしております。
その内容につきましては、現在取りまとめ作業中でございまして、具体的に申し上げることはなかなか難しゅうございますけれども、防衛省といたしましては、引き続き、米軍に対して、オスプレイの飛行に際しては安全面に最大限配慮しつつ、地域住民の方々に対する影響を最小限にとどめるよう働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。
また、騒音測定の話でございますけれども、オスプレイの騒音測定につきましては、日米共同訓練における航空機騒音が周辺環境へ与える影響等を把握して今後の業務の参考とするため、本年三月の相馬原演習場及び関山演習場の日米共同訓練において、おのおの北関東防衛局がオスプレイの騒音測定を実施いたしております。
この結果につきましても、現在精査中でございますけれども、結果の公表も含め、今後適切に対応してまいりたいと考えております。
○梅村委員 ぜひ、住民からの情報、苦情、そして、騒音も大変重大な、安全にかかわる問題ですので、まとめていただいて、公表をしていただきたいと思います。そして、日米合意に基づいて違反があれば、しっかりと意見を言っていただきたいというふうに思います。
最後に、今度はCV22の配備計画に関して聞きたいと思います。
米軍は、ホテル地区を飛行対象にするとしておりますが、これは自衛隊の訓練空域のエリアHと重なると想定されるのか。これについて確認させてください。
○谷井政府参考人 お答え申し上げます。
米側が作成しましたCV22の横田配備計画に関する環境レビューにおきまして、基本的に、横田飛行場に配備される航空機は、現在の訓練区域あるいは訓練場を引き続き使用するというふうに書かれております。
また、CV22が訓練を行う六つの訓練区域の一つとして、ホテル地区が記載されているところでございます。
このホテル地区の訓練内容につきましては、米側に問い合わせましたところ、飛行訓練及び夜間飛行訓練を行う旨を米側からも説明を受けております。米軍のこのホテル地区というのは、航空自衛隊のHエリアとほぼ重なっているというふうに承知をしてございます。
○梅村委員 夜間訓練も行われ、自衛隊のエリアHに重なるということで、私、資料の三で、今回、エリアHがどこなのかということで、長野十七市町村、群馬二十五市町村、新潟も八市町村、栃木、福島ということで、およそ五十三の自治体が影響を受ける。そして、MV22とは違って、CV22は本当に今までとは全然違う訓練をされていくということだと思います。ですので、このCV22のオスプレイが配備された場合、さらに今回の訓練以上に大変危険なことが起こってくる可能性があると思います。
表の下のところに、入間基地が調整している、自衛隊が自由に使える時間調整の一覧もあります。この時間帯というのは、事前通告もなくオスプレイというのは飛行訓練できるのか、また、空中給油というのはこういうところでは今後可能なのかどうか、これについて最後に確認させていただきたいと思います。
○岡政府参考人 エリアHとの関係での御質問でございますけれども、自衛隊の訓練試験空域を米軍が使用する際には、当該空域の使用の重複を避けるために、自衛隊の担当部隊が使用統制機関として、米軍と使用日時について事前調整を実施しているところでございます。
エリアHにつきましては、航空自衛隊第二輸送航空隊本部が使用統制機関とされているところでございまして、そうした使用日時に関する事前の調整を行った上で使用されることになるものというふうに理解をしております。
それから、空中給油についてでございますけれども、現時点におきまして、日米共同訓練の際に米軍のオスプレイに対する空中給油訓練を実施する計画はありません。また、空中給油訓練については、陸地から離れた海域の上空で実施されているものと承知しているところでございます。
○梅村委員 陸地も海上でも空中給油は憲法違反であり、危ないことですので、やるべきではないと思います。そして、肝心なことは、やはり大切な情報が国民に知らされないような状況ですので、自主自立の日米関係をつくっていくことが必要だと思います。
今、危険なオスプレイを日本上空で飛ばさせてはならないということで各地で開かれているオスプレイ反対集会は、二千人、三千人と大きくなってきております。オスプレイの訓練、配備はやめることを強く求めて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。