「しんぶん赤旗」8月22日・1面より
在日クルド人が多く住む埼玉県川口市で、クルドの子どもたちが21日、日本共産党の国会議員らに実態を伝え、「普通の高校生活を送りたい、ビザがほしい」「差別をやめてほしい」と訴えました。
国は昨年8月、日本で生まれ育った外国人の小中高校生については、親に重大な犯罪歴がある場合などを除き、特別に親子にビザ(在留特別許可)を出す方針を示しました。
しかし懇談では、方針と異なる実態が出されました。高校3年生は進学を目指していますが、ビザが出ていません。「友達とオープンキャンパスに行きました。でも受験にはビザが必要です。10年以上日本にいます。ここで働いて、ここにいる人に手を差し伸べたい」と話しました。
「日本で夢をかなえたい」と話すのは中学3年生のアルペルさんです。高校受験生で、プロサッカー選手を目指しています。自身や父にはビザが出ましたが、母だけに出ていません。「母が強制送還されたら僕も一緒に行く。家族が一つになるのが夢です」と訴えました。
懇談の最後、この1年で激化したクルド人へのヘイトスピーチへの恐怖が語られました。メディアが差別をあおり、ネットでデマが拡散され、クルド人が暮らす地域をヘイトデモ隊が練り歩いています。差別に対し、市民が抗議しています。
懇談の主催は党の「外国人の人権・労働・共生に関する委員会」。塩川鉄也、本村伸子両衆院議員、伊藤岳、仁比聡平両参院議員、梅村さえこ衆院北関東比例候補、党川口市議が参加しました。今回で2度目。仁比氏は「皆さんが苦しめられている根っこに、多文化共生に背を向ける国の排外主義がある。ともに正面から声をあげたい」と話しました。
その後、懇談した川口市長の奥ノ木信夫氏は、外国人住民の教育や医療について「困っている人を助けるのが地方自治の仕事」と述べました。