3月26日、衆院本会議でのNHKの2015年度予算採決に先立ち、梅村議員が反対討論にたちました。
梅村議員は、「ことしは日本でラジオ放送が開始されて90年。戦前の日本放送協会は政府の統治下置かれ、戦争遂行の宣伝機関の役割を担っていました。戦後の放送制度は、この反省を踏まえ、日本国憲法のもと、新たな歩みを開始しました」と強調し、籾井会長の一連の発言は放送法の歴史的な趣旨の不理解をしめすものと指摘。「視聴者・国民の厳しい声が広がる事態は極めて重大」と批判しました。
――会議録――
○梅村さえこ君 私は、日本共産党を代表して、2015年度NHK予算の承認に対して、反対の討論を行います。(拍手)
ことしは、日本でラジオ放送が開始されて九十年の年に当たります。NHKは、戦前唯一の放送機関であった日本放送協会の名称と財産を戦後においても引き継いでいます。しかし、戦前の日本放送協会は、政府の統制下に置かれ、戦争遂行の宣伝機関の役割を担っていました。戦後の放送制度は、この歴史の反省を踏まえ、日本国憲法のもと、新たな歩みを開始しました。
放送法第一条は、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること、放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、健全な民主主義の発達に資するようにすることをその目的として定めています。
放送の自由の獲得は、放送が国家権力から独立してこそ可能になる、これが日本国憲法の求める放送の基本であります。
したがって、NHK予算の承認に当たっては、予算の内容とともに経営姿勢が放送法にのっとり、国家権力からの独立、表現の自由の確保といった基本が貫かれているかが問われなければなりません。
この見地から、日本共産党は、NHK予算を審査し、過去、二〇〇五年度予算では、「ETV二〇〇一 問われる戦時性暴力」の番組改ざん問題や不正経理事件の真相解明に背を向けるNHKの姿勢に反省を求め、予算承認に反対しました。
二〇一五年度予算については、前年度に引き続き、籾井会長の放送に対する姿勢が厳しく問われています。
昨年一月、籾井会長が会長に就任し、その就任会見での発言は、放送法に対する著しい不理解を露呈したものでした。また、日本軍慰安婦問題などについての歴史の事実を歪曲する発言は、会長としての資質が深刻に問われました。
こうした一連の発言について籾井会長は、取り消す、個人的な見解を放送に反映することはないと予算委員会や総務委員会の場で繰り返し述べたのであります。
ところが、ことし二月、籾井会長は、戦後七十年の節目に番組で慰安婦問題を取り上げるかと問われたのに対し、政府のスタンスが見えないので慎重に考えると発言しました。そして、昨日の総務委員会でも、八月の政府談話が出た後に広くいろいろな意見を拾うと繰り返しました。
これは、国会での弁明に全く反するものです。籾井会長の反省が形だけのものであったことは明らかです。籾井氏の辞任、罷免を求める視聴者・国民の厳しい声が一層広がる事態となっています。極めて重大です。
また、籾井会長のハイヤーの私的使用問題や受信料義務化の発言についても、責任ある説明がされていません。経営委員会がこうした籾井会長の経営姿勢を容認してきた責任も厳しく問われています。
以上の点から、NHKの二〇一五年度予算を承認することはできません。
最後に、安倍政権のもとで出されたNHKに対する総務大臣意見が、NHKに政府の成長戦略への貢献を求める踏み込んだものになっていることは重大です。
NHK及び経営委員会が真摯に向き合うべきは、支え手である視聴者・国民です。
NHKが、政府の産業政策に迎合せず、政府から独立し、商業主義にくみしないという立場を貫き、公共放送としての信頼を取り戻す努力を強く求めて、討論を終わります。(拍手)