梅村さえこ-日本共産党党中央委委員・子どもの権利委員会副責任者
国会質問

質問日:2016年 2月 24日 第190国会 総務委員会

常総水害「人災」の声 梅村氏、政府対応ただす

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  日本共産党の梅村さえこ議員は24日の衆院総務委員会で、昨年9月の記録的豪雨で茨城県常総市の鬼怒川付近の堤防が決壊し、甚大な被害が出たことを取り上げ、政府の堤防整備や住民への対応をただしました。

 梅村氏が鬼怒川三坂地区の堤防決壊の原因を質問したのに対し、国交省水管理国土保全局の野村正史次長は「2014年度から用地調査に入り堤防整備に向けた準備は進めていた」と述べました。

 梅村氏は「整備は20年から30年かかるとしていたではないか」と批判。鬼怒川の堤防整備予算が15年度は約10億円だったのに対し、鬼怒川上流にある湯西川ダム(栃木県)の建設には毎年50億~350億円もあてられていたことを指摘し、「ダム建設優先で河川整備が後回しにされ、そのしわ寄せが今回の決壊になったのではないか」と追及しました。

 決壊した鬼怒川付近の住民たちが国交省の地元事務所に堤防が決壊する危険性と早急な整備を求めていたことにも触れて、「地元では人災だとの声が出ている」とし、住民への説明を要求しました。

 野村次長は「堤防の整備にかかっていく」と述べるとともに、現地の住民の理解が得られるよう説明していくと答弁しました。

 梅村氏は、被災農家が農業を再開できるようにするために、国による補助率を上げ、補償対象に線引きをしないよう求めました。

                    【「しんぶん赤旗」2016年2月27日付】                 

ー会議録ー

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
 特別交付税、地財計画にかかわって質問いたします。
 今の質問とも関連するんですけれども、私自身の地元も北関東ブロックですけれども、この間、東日本大震災、竜巻、雪害、ひょう、台風、大水害、もう毎年のように自然災害が起き続けております。
 今の質問にもありましたけれども、今回、特別交付税の割合、四%削減から六%に維持される内容となっております。
 地方財政審でも、自然災害が多発し、多様化し、災害関連経費にかかわる財政需要が増加しているとの意見もあります。
 ちょっと今と同じような質問になってしまうかもしれませんが、こういう相次ぐ自然災害、財政支援、特別交付税のそもそもの位置づけなどについて、まず大臣にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 近年の特別交付税の算定状況を踏まえますと、台風、豪雪、豪雨などの自然災害の多発、多様化に伴う災害対応経費、地域交通や地域医療等の地域住民の生活を守るために不可欠な経費、そして人口減少を克服するための施策に意欲的に取り組む地方団体を支援する経費、こういったものが増加しておりまして、特別交付税として確保されるべき財政需要が増加しております。
 今委員が地方財政審議会の意見を一部御紹介いただきましたが、今後ともこれらの財政需要というのが必要となる経費であるといった御趣旨から、「地方交付税における本来の特別交付税の割合を六%とすることが適当である。」という意見が示されました。
 それから、先般、全国市長会それから全国町村会から特別交付税の割合を維持するように求めるという御要望もいただきましたので、こうしたことを踏まえて、特別交付税の割合は六%を継続することといたしました。
 九月の関東・東北豪雨、大変な被害でございましたので、被災団体では相当の財政負担が生じると思っております。私も被災地の首長の皆様から直接お話を伺いましたが、被災団体については、引き続き実情を十分にお伺いしながら、特別交付税措置を含む地方交付税や地方債による地方財政対策措置を講じて、その財政運営に支障が生じることがないように適切に対処してまいります。

梅村委員 今御答弁いただきましたように、たび重なる自然災害、そして自治体としては、それだけではなくて、それに加え、住民の皆さんの雇用や医療や子育てや、学校、道路などのインフラ整備など、住民の福祉の増進を図るという地方自治体の役割が十分に発揮されるように、やはり国がしっかりと支援をする、地方の財源を地方交付税の拡充などで抜本的に増額し、地方が取り組むべき課題に対応できるよう保障することをまず冒頭求めたいというふうに思います。
 具体的な質問に移りたいと思いますけれども、お願いしていた順序と質問が少し入れかわりますので、通告の中身ではあるんですけれども、質問の順番に沿ってお答えいただければというふうに思います。
 今の九月の北関東、東北の豪雨災害ですけれども、五カ月がたちました。今、新しい問題も現場では山積しております。八人の方々が亡くなられました。
 改めてここで被害について確認しておきたいと思うんです。もともと河川については、国交省の関東地方整備局の管轄区内だけでも百カ所以上の堤防の侵食、漏水、越水が起こり、中でも鬼怒川は、利根川合流地点から二十一キロの三坂町で起きた決壊などにより、合わせて約七百八十万立方メートルの浸水、これは東京ドームにすると約六杯分の浸水となると思うんですけれども、そういうことによって全市の面積の三分の一が浸水をし、全世帯の五割、市民の約半世帯が今回の水害によって床上、床下浸水を起こしたという大被害だと思いますけれども、そういう被害でよろしいでしょうか。

野村政府参考人 お答えをいたします。
 今御質問の中にありましたとおり、例えば、今回の鬼怒川の破堤による常総市の氾濫水量約五千三百万立米ということでありまして、浸水戸数が一万八千戸等々ということで、先生御指摘のとおりの被害が生じております。

梅村委員 私も現地に行かせていただきまして、いろいろな被害があるんですけれども、やはり、数日間、水につかりっ放しだった、引かずに家屋だとか畑がずっと浸水し続けたということが、これまでの災害にはない質を持った被害を今与えているのではないかなというふうに思います。
 そういう意味では、先日この総務委員会でも質問させていただきましたけれども、家屋や農地に対する浸水時のいろいろな対策についても、こういう被害に見合った対策が必要なのではないかなというふうに私は思っております。
 それで、改めてここでお伺いしたいんです。現場では、まだ家が改修されていないというお宅もたくさん残されています。そういう思いを抱えながら、今、被災者の皆さんは、なぜこんな被害が起こったのか、どうして決壊が起こったのか、そういう御意見がやはりたくさん上がっているわけです。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、この鬼怒川の三坂地区の決壊についてですけれども、今回は予想以上の降水量だったから仕方がないというか、予想を超えたものだったというふうにお考えなのか、やはりもともとこの地域は整備がおくれていたというふうに認識していらっしゃったのか、その点を簡単に御説明いただきたいというふうに思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。
 その前に、ちょっと先ほどの答弁を訂正させていただきたいと思います。恐縮でございます。
 先ほど、氾濫水量五千三百万立米と申しましたが、氾濫水量は三千四百万立米、そして浸水戸数を九千三百戸と訂正をさせていただきたいと思います。
 それで、今のお尋ねでございます。
 鬼怒川でございますけれども、これまで、例えば、下流部茨城県内区間、これは堤防の整備による流下能力を高めていくということ、そして、流れの速い上流部の栃木県は、例えば護岸整備によって河岸を強化する、そしてダムの整備によって流量を低減させていくということで、川全体にわたって安全度を向上させてまいったところでございます。
 それで、このような中で、四十年ほど前になりますけれども、昭和四十八年に、茨城県内区間の重要性などを踏まえて、さらに大きな洪水を安全に流下させるために、治水計画を変更いたしました。この計画の変更により、茨城県内区間では、計画上の堤防の断面を大きくする必要が生じたところでございます。その結果として、茨城県区間の堤防整備率は、この計画の見直しによって、数字の上では小さくなったことは事実でございます。
 ただ、四十八年の変更前の計画に照らせば、当時の堤防の整備状況に関しまして、茨城県区間が上流の栃木県区間と比較して著しくおくれていたというわけではございません。
 その後も、限られた予算の中で鬼怒川の河川改修を進めてまいりましたけれども、特にここ十五年ほどは、茨城県内の堤防整備に重点的に予算を投入し、流下能力が大きく不足する箇所を優先して、今、下流から整備を進めておったところでございます。
    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

梅村委員 ただ、茨城の中でも、三坂のあたり、この地域そのものに危険性というかおくれがあった、そういう御認識はなかったかということを聞きたいんですけれども。

野村政府参考人 お答えをいたします。
 三坂地区、今回破堤をした箇所については、平成二十六年に、一連の区間を整備を必要とする区間として、必要な用地調査には入っておりました。そういう意味では、確かに整備を進める必要がある箇所としては認識してございました。

梅村委員 災害が起こった直後の九月二十八日に、関東地方整備局の第一回の鬼怒川堤防調査委員会のところの分析では、決壊したところがほかに比べて堤防の高さが一番低かった、そこから決壊した、こういうこともまとまってあるわけであります。
 あと、今御紹介いただいた平成二十六年十月十日に出た鬼怒川直轄河川改修事業という中に、確かにここは必要だということですけれども、緊急にやる、当面七年でやる地域と、おおむね二十年から三十年かけてやるんだという地域に分かれていて、この三坂地区というのは、危険かもしれないけれども、やると言われていたけれども、それはおおむね二十年から三十年かけてやるという計画になっているわけですよね。そういうことで間違いないでしょうか。
 本当にそれで危険を認識していたと言えるのでしょうか。

野村政府参考人 お答えをいたします。
 今ほど申し上げましたとおり、決壊箇所を含む一連の箇所が、やはり整備が必要ということで、一連の箇所として必要な高さを保持していないということは御指摘のとおりでございますけれども、そこだけが箇所的に、その決壊箇所だけが著しく低いということではなくて、その箇所を含む一連の区間、約六キロメートルの区間としてこれは整備を進めるべきということで、平成二十六年から用地調査に入るということで、堤防整備に向けた準備には入ってございました。
 ただ、その段階で、では、その堤防整備にいつから入って、それが何年にでき上がるかというところは、まさにさまざまな、用地調査等を含めて、また、その時点の計画づくりによるところになりますので。
 ただ、いずれにしても、二十六年から当該箇所については用地調査に入っておりましたので、具体的には決壊した箇所のさらにもう少し下流部になるわけですけれども、用地調査に入っておりましたので、私どもとしては、そこは整備をしなくてはいけないという認識はございました。

梅村委員 認識はあったとしても、おおむね二十年から三十年かけてということでいうと、やはり住んでいらっしゃる方にとっては、自分たちの命や暮らしを、そうなったらもうみんな二十歳や三十歳年をとっちゃうわけですから、本当に緊急性を持ってやられていたのかという疑問を持つのは当然だと思います。
 きょうここでは問いませんけれども、先ほど紹介した被災直後の九月二十八日の第一回鬼怒川堤防調査委員会の結果ですと、これは二十ページですけれども、決壊幅二百メートルのうち、決壊したところは、一番低かったところから水が出ていったという調査を私はこれで見ているんですけれども、ぜひ後でそれは確認をさせていただきたいというふうに思いますし、そういう指摘があるということをここで御紹介させていただきたいというふうに思います。
 それで、今の二十年、三十年後ということも含めてなんですけれども、今御紹介いただいたように、うちの塩川議員が質問したときに、一九七三年に計画を変えたということをおっしゃっていましたけれども、それから四十三年たつわけですよね。
 しかも、低いといいながら、栃木県側は整備率が六二%に対して、茨城県側は一六・八%なわけですね。これは何とかしなきゃいけないということで整備計画をつくったのかもしれないけれども、その結果、茨城県側が一六・八%で、しかも一番弱いところのこの地点が水が出て決壊したということは、やはり皆さん地元では、これは自然災害ではなくて人災ではないかという声も出てきているわけなんですよね。ですので、そういう状況が地元の皆さんからは出ているんですけれども、その点はいかがでしょうか、その具体的なおくれについて。
 一九七三年にやって以降、本当に四十三年間、この場所をどういうふうにやり、なぜいまだに一六・八%なのか、そこら辺をちょっと御紹介いただきたいと思うんですけれども。

野村政府参考人 お答えをいたします。
 一九七三年、昭和四十八年に治水計画を変更したと申し上げましたが、その変更前で見ますと、茨城県内区間は約四二%、栃木県内は約五四%。もちろん茨城の方が低かったんですけれども。実は著しいおくれはなかったんですが。その四十八年におきまして、それ以前の、これは二十四年に利根川改修改訂計画で、いわゆる河道、川でもつ洪水の流下能力、計画高水流量を、当時は毎秒四千立米としておったのを、これは石井という地点ですので今回の決壊場所ではございませんけれども、その石井という場所で見ますと、昭和四十八年に、計画高水流量六千二百立米・パー・セカンドということで、要するに、より多くの洪水を流せるようにしなくてはいけないという計画の改定をいたしました。
 なので、そうなると、堤防の断面をふやさなくちゃいけないということで、従来の計画だと基準を満たしていたものが満たさなくなったということで、そういう意味での整備率は確かに低くなってございます。
 今ほど答弁申し上げたとおり、特に直近十五年は主に堤防について整備を進めていたところではございますけれども、それ以前のところは、堤防というのもやっておりましたけれども、例えば河床低下、これは、河床が低くなりますと、より堤防を侵食しやすくなりますので、その床どめをやるとか、場合によっては堤防の弱いところ、これは構造物が川に突き出ている、要は、水路が川に注ぐところに樋門というのがございますけれども、そういったところの老朽化対策というところで、必ずしもやはり堤防だけで治水対策が進むわけではございませんものですから、そういうところをやっていたこともございます。
 その結果として、確かに堤防の整備率として、現在でも、先ほどお話があったような、少し差がついていることは事実でございますけれども、特にここ最近は堤防整備をかなり強化してやってきたということを申し上げたいと思います。

梅村委員 そういう意見は、この被災が起こるちょうど一年前に、茨城県の方からも、鬼怒川は小貝川とともに本県の西南部を流れる河川であり、一たび洪水が発生すれば甚大な被害が予想されるという意見が上がっていたかというふうに思います。
 そして、今いみじくも限られた予算の中でという御発言がありましたけれども、この間のこの分野の河川の予算の推移を御紹介いただきたいというふうに思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。
 例えば四十八年から十年スパンでとってみたとした場合に、これはここからさかのぼっていますので、四十八年ではなくて五十一年を起点として、五十一年から六十年の十カ年、その間の鬼怒川下流、ほぼイコール茨城県区間ですけれども……(梅村委員「毎年で」と呼ぶ)毎年ですか。(梅村委員「ポイントでいいです、ずっとじゃなくて」と呼ぶ)
 例えば、直近で言いますと、これは鬼怒川の全体なので実は栃木県区間を含んだお金なんですけれども、鬼怒川で平成二十七年度、これはちょっと確定はしていませんけれども、約十億円です。そして、二十六年度、昨年度は十三億円、二十五年度十一億円、二十四年度は補正が少しありましたものですから二十七億円、二十三年度は九億円ということで、二十四年度は補正の影響で少し大きくなっておりますけれども、それをさらに五年ぐらいさかのぼりましても大体毎年十億程度の予算で対応しておりました。

梅村委員 これは鬼怒川ということでよろしかったですか。

野村政府参考人 お答えいたします。
 鬼怒川です。ただ、上下流全て含んだ鬼怒川ということでございます。

梅村委員 済みません、私、毎年二十億ぐらいと聞いていたので。もっと少なくて、毎年、一年間で十億円ということでよろしいわけですよね。
 それで、湯西川ダムが上流にあると思いますし、四つのダムが上にあるわけですよね。湯西川ダムだけでどれぐらいかけているかというと一千八百四十億円で、大体、この十八年ぐらい、毎年五十億から三百五十億円を使って上流のダムの建設はやられていたわけですよ。
 それに対して、一番身近な住民が住む河川で毎年十億円でこの間推移してきたというのは、幾らどんないい計画を立てても、やはりおおむね二十年から三十年かかるというふうな予算構造になっていたのかなというふうにも思うんです。
 先ほど、限られた予算の中でというお言葉がそちらからもありましたけれども、その予算、ダム優先で、そして河川が後回しにされてきたのではないか。そのしわ寄せが今回の決壊になり、重大な被害を、住民の皆さん、その川の近くに住んでいらっしゃる皆さんは物すごいんですよ、一千万、二千万の借金を今抱えて、農家も再開できない、家も建てられない、そういう苦しみにあるんですけれども、そういう予算の使い方がやはりしわ寄せとして来ているのではないかというところはいかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。
 先ほど申し上げた数字は鬼怒川の数字でございますけれども、特に、例えば関東地域を考えても、利根川水系、本川がありましたり、本当に名立たる河川もございますので、決して河川を軽視してきたということではなくて。
 ただ、それぞれにやはり治水の需要というのがございますものですから、必要な箇所、もちろん全てが必要なんですけれども、プライオリティーを考えながら、何度も恐縮ですけれども、限られた予算の中で対応してきたということでございます。
 ただ、ダムの御指摘がございましたけれども、これもるる申し上げませんけれども、今回、鬼怒川上流四ダムで、例えば常総市域であふれた水量で申しますと、三分の二になっております。先ほど、私、最初の答弁で五千三百万立米と言ったのはダムがなかりせばということでして、五千三百万が三千四百万立米になったということですけれども、やはり相応の効果は上げておる。もしもダムがなかった場合にはもっと被害が拡大したということもございますので、ダムの整備の効果はそれなりにあったかと存じております。
 いずれにしましても、河川も着実に整備を進めていかなくてはいけない、そういうふうには考えております。

梅村委員 ダムの効果についてはきょうはここでいろいろ詳しく質問するつもりはございませんけれども、国交省の発表でも、ダムの結果、水位の低下というのは二十五センチで、そして一秒当たりの引き下げも四千百八十立方メートルから四千立方メートル、それぐらいの、五%弱の引き下げだったという結果だって国交省は出していると思うんですよね。
 ですから、きょうはここでそういうことは問いませんけれども、河川行政そのものが、予算の使い方を見ても、非常におくれていたということはやはり強く指摘をしておきたいというふうに思います。
 それで、現地の方々がもう一個怒っているのは、若宮戸の方の越水ですけれども、これは直前まで、国交省の地元事務所に行って、危ない、決壊する、それを言ってきているわけですよ。にもかかわらず、対策を打たずに越水して大きな被害が出ているというところに、現地の人たちは納得できない気持ちがたくさんあられるんですよね。
 そのとき訴えに行った住民の皆さんの声というのは、地元の所長さんが必ず上の方に伝えるというふうにおっしゃっていただいたということですけれども、地元の人たちは、川の近くに住んでいれば危険なのか、これがどうなるのか、一番川のことを知っているわけですよね。ですから、訴えに行った。当時、この訴えは聞いていただけたんですか。

野村政府参考人 お答えを申し上げます。
 詳しい経緯は先生も御案内かと思いますのでちょっと省略しますけれども、平成二十六年の三月に、地元住民の方から、今回少しいわゆる自然堤防的な部分について掘削をしているという御指摘が確かにありました。それで、常総市からもいろいろ申し入れがございまして、常総市とも相談をしまして、いろいろ検討はいたしました。
 ただ、御案内のとおり、ここはかなり、河岸からは少し数十メーターあるいは百メーター程度引っ込んでおりまして、完全な民地、そして河川区域の外ということがございましたものですから、河川法等で、あるいは常総市が何らか対応できるかということも検討しましたけれども、それもないということだったものですから、なかなか制度的に規制をするということができなかったので、これは、出張所に来られましてすぐ下館の河川事務所の方には報告をしました。
 それで、事務所もそうやって常総市とも相談して、この後は御案内かもしれませんけれども、事業者に対しては、これは要請ベースになるんですけれども、現地盤の高さで残すことはできないかというふうな申し入れなどなどいたしたところですけれども、なかなか規制として行うことができないので、結果としては、あの掘削が行われ、そのかわりとして一番低いところに合わせた土のうを積んで対応したということでございます。
 したがって、出張所にお話があった件については、事務所本所の方に上がって、そしてそのような対応をとらせていただいたということでございます。

梅村委員 いずれにしましても、現地の方々は、再三言っていたんだ、にもかかわらず起きてしまった上に、この再建が自己責任だというふうに言われても納得ができない思いというのは、私はすごくわかるような気がするんですね。
 現地の方々は、なぜこんな決壊や越水が起きたのか、これからの計画はどうなのか、自分たちが届けた声はちゃんと国交省の方に届いたのか、こういうことを知りたがっているわけですね。
 ですので、ぜひ、情報公開もし、地域の皆さんが納得していただけるまで丁寧に住民説明会などをしていただきたいというふうに思います。それがなければ、なぜあんなふうに危ないというふうに再三言ったのかということだと思うので、ぜひそれはこの場でお約束していただければと思うんですが、いかがでしょうか、住民との関係は。

野村政府参考人 お答えをいたします。
 今回の災害を受けまして、若宮戸地区についても、もともと、平成二十六年の段階で、いずれ、そこを含む六キロメートル区間やるべしということでございますけれども、ここは、鬼怒川緊急対策プロジェクトということに全体の対策を取りまとめて、そしてこの地区についても堤防の整備にかかってまいりたいと思っております。
 また、そこにおいては、地元の皆様にもちろん事業の内容についてはきちんと丁寧に御説明をして、進めていくということにしてございます。

梅村委員 この間の訴えていたのにどうだったのか、そういう検証についてもきちんと住民に説明していただけるということでしょうか。

野村政府参考人 お答えします。
 まず、若宮戸地区をめぐる一連の経緯については、発災の後に関東地方整備局の方でいろいろな経緯を調査して公表していると思いますし、それは、地元だけではなくて、ホームページなどで御紹介をして、一連の経緯は一応載せております。
 それから、先ほど申し上げたように、事業者に申し入れを行ったりしてございます。それはもちろん地元からの申し入れがあったということを受けての措置でございますので、そういったことについても対応してきたところでございます。
 私どもは、できる中で最大限対応してきたと考えておりますけれども、もちろん、今後の事業の推進に当たっても、そこはしっかりと説明をして進めてまいりたいと考えております。

梅村委員 これから緊急プロジェクトも始まると思いますし、それは住民の皆さんと一緒にいろいろ知恵も出しながらやっていく問題も出てくると思いますので、ぜひ今お約束していただいたとおりやっていただきたいというふうに思います。
 あと、時間がなくなりましたので、最後、これに伴って、農家の方々の問題についてお伺いしたいというふうに思います。(発言する者あり)四十三分までよかったですか。

○坂本(哲)委員長代理 はい。

梅村委員 茨城県は、北海道に次ぐ農業県になっております。この間、被災農家の皆さんはいろいろなお声を上げられて、経営体育成事業などを農水省の皆さんに大変な御尽力をいただいて、農機具やハウスの修理、購入費用については、国が十分の三の補助、自治体と合わせて十分の六と引き上げを実施されてきました。これは、現地が大変喜んでおられることだというふうに思います。
 ただ同時に、今御紹介したように、茨城は大変農業県で、この決壊した地域は大規模農家が多いわけですよね。そうすると、農機具も一千万、二千万、三千万、そういうものをやはり改修したり購入したりしないと再開できないという新たな悲鳴が起こっています。
 ですので、こういう声に応えて、少なくとも二〇一四年の大雪被害のときと同じような段階まで引き上げてほしいという声が現場から上がっているんですけれども、この点、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。
 昨年の台風十八号では、農業用機械を初めとして甚大な被害が発生し、激甚災害に指定されたことに鑑み、被災農業者向け経営体育成支援事業を発動して、農業用機械等の復旧を支援することとしたところでございます。
 本事業の補助率は他の激甚災害で発動した際と同様に十分の三としているところでございますが、多数の農業用機械が浸水した被害の実態を踏まえまして、農業用機械の修繕や耐用年数を経過した農業用機械の再取得といったこれまでにない支援策を新たに講じたところでございまして、被災された農業者の方々が早期に営農再開できるよう万全を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

梅村委員 大雪被害と同じ段階での補助というのはいかがでしょうか。

橋本政府参考人 平成二十六年二月の大雪の際につきましては、通常降雪量の少ない地域を中心にいたしまして、地域の基幹産業であります農業が壊滅的な被害を受けた。全国の農業用ハウスの被害で千二百二十四億円でございます。そういった農業が壊滅的な被害を受けたことに鑑みまして、産地の営農再開及び食料の安定供給に万全を期すというために、補助率の二分の一へのかさ上げや被災した施設の撤去費を助成対象にするなど特例的な措置を講じたものでございます。
 一方、先般の台風十八号につきましては、被害額が農業用機械で二十八億円ということで、平成二十六年二月の大雪の際に比べて少ないために補助率のかさ上げは行わない。ですが、先ほど御説明したとおり、多数の農業用機械が浸水した被害の実態というものを踏まえまして、農業用機械の修繕、それから耐用年数を経過した農業用機械の再取得といったこれまでにない支援策を新たに講じたということでございます。

梅村委員 この中に軽トラックを入れてほしいという要望も大変強くあると思うんです。やはり農家にとっては欠かせないものだと思いますので、ぜひ入れていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 被災農業者向け経営体育成支援事業でございますが、気象災害等により被災した農業者が早期に営農再開できるよう、農産物の生産に直接必要な施設や農業用機械に限って補助対象としているところでございます。
 このため、軽トラックのような農業生産以外の用途に供し得る汎用性の高いものは補助対象とはしていないというところでございます。

梅村委員 本当に農家の方々や、地方で暮らしていれば、私の実家も農家ですけれども、軽トラックがなければ農業はできないですよね。ぜひそれを考慮して、私は、入れるべき、それは再開する皆さんの希望にもなっていくんじゃないかなというふうに思います。
 そして、収穫後のお米についても、これも農家の皆さんからの要望があり、大変農水省の皆さんに御尽力いただいて、営農を前提とする方については収穫後の米であっても今回補助が出るということになったのは、大変現場では喜んでおります。
 ただ、なぜそこに線引きをするのか。営農できないというのは、決壊がなければ今も農家を続けていたわけで、決壊があったから農業を続けられない。しかも、同じように苦労して今まで育ててきて、農家ができなくなるということは収入がなくなるということですから、より一層補助が必要だということで、ぜひそういう区別をつけないでほしいという強い要望がありますけれども、この点もいかがでしょうか。

天羽政府参考人 お答えいたします。
 収穫後、農業者が自宅に保管している段階で浸水被害を受けたお米につきましては、基本的には、他の一般的な個人財産と同様、農業者がみずから民間の保険に加入して対応する必要があるというふうに考えているところでございます。
 しかしながら、今回のケースにつきましては、一つといたしまして、生じた損害、被害がこれまでにはなく、民間保険への加入がなされていなかったというふうに思われること、二つといたしまして、今回支援をしなければ産地としてその維持が危ぶまれる事態であったということから、農林水産省では、特例といたしまして営農再開のための支援をするということとしたところでございます。
 このように、今回の事業は営農再開を支援するということで特例として認められたものであるということにつきまして、御理解をお願いしたいということでございます。
 なお、今後でございますが、同様の被害が生じた場合に対応できますよう、農業者に対しましては民間保険の活用について周知をしてまいりたいというふうに考えております。

梅村委員 その民間保険も高くて入れないというふうな声も上がってきているわけですよね。そして、今の茨城の常総の皆さん、先ほども述べましたけれども、非常に農業大県で、やはり地域経済を農業が支えてきている地域です。私も現場に行ったら、ずっと田んぼです。そういうところで、今、続けるか、やめるかというふうに悩んでいらっしゃる農家の皆さんはいっぱいいらっしゃるわけで、やはり今、地方創生ということで、地域から経済を活性化させると言っているときに、続けたいけれどもどうしようかというふうに迷っている人に手を差し伸べなくて、どうして地域で農業が活性化、広がっていくのかというふうに思うわけですね。
 そういう点も含めて、軽トラックの問題、さらにかさ上げをしていく問題、そして米をめぐっても現場から出ている問題について、ぜひ現地の要望を聞いていただけることを最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。

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