梅村さえこ議員は、4月28日の衆院消費者問題特別委員会で、街頭やSNSで勧誘されてアダルトビデオに出演し、多額の違約金を請求される被害などについて、労働者性が認められないケースは、「消費者被害として位置付けるべきだ」と求めました。
消費者庁の井内正敏審議官は、消費者契約法は消費者と事業者との契約が対象だとしつつ、梅村氏の「明らかに情報量の格差がある」との指摘に、「短発でビデオに出演する契約を締結するような事例は、消費者契約法の適用がありうる」と答弁。川口康裕消費者庁次長も「(特定商取引法が規制する)業務提供誘引販売に該当するとして、声をかけて若い女性を呼び出し、10万円の登録料契約をした芸能事務所に6カ月の業務停止命令を行った事例がある」と説明しました。
梅村氏は「消費者契約法や特定商取引法で救済する手だてはある。積極的に活用し泣き寝入りしている若者を急いで救うべきだ」と追及。「もっと救済できるよう、さらに法改正して対応すべきだ」とただしました。
河野太郎消費者担当相は「あってはならないこと。しっかりやってまいりたい」と約束。梅村氏は、消費者としての権利を知らせることも強く求めました。
【「しんぶん赤旗」2016年5月20日付】
ー会議録ー
○梅村委員
さて、最後になりますけれども、若者層の被害についても質問していきたいというふうに思います。
今、街頭やSNSで、モデルにならないかと本来の目的を告げずに勧誘し、アダルトビデオに出演させる手口があります。私も、この間、現場に行き、いろいろとお話を聞かせていただいてまいりました。
国際NGOヒューマンライツ・ナウがこうした被害実例を報告書としてまとめております。グラビアモデルとしてスカウトをする、また、密室などで取り囲んで説得をする、テレビ出演と虚偽の説明を行う、AV撮影で大勢の前で実際に性的行為を何度もさせられる、そして、断ろうとすると、多額の違約金や経費と称して金銭を請求し、断れないようにする、こういった事例であります。私も、このお話を聞いて、本当に胸が痛む思いがいたしました。
これに関する相談は、消費生活センターにもたくさん寄せられていると伺っております。しかし、救済を求めてくるまでに至るのは氷山の一角で、実際は泣き寝入りをしているケースが多くあり、中には自死にまで至ってしまったケースもあります。重大な問題で、さまざまな要素があると思いますが、やはり何といっても、初期段階で食いとめられないかというふうに強く思った次第であります。
そこで伺いますが、声をかけられる女子高校生たちは、情報を余り持っていません。明らかに情報量の格差があります。そういう点でいいますと、消費者契約法で言う消費者と業者の関係にあると言えるのではないか、この分野での救済の対象にすべきではないか、ならないのか、このことを強く思いますが、いかがでしょうか。
○井内政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねのような事案につきましては、女性の方の尊厳を踏みにじるようなものであって、あってはならないということを認識しております。
この点につきまして、契約に着目いたしまして見ますと、消費者契約法は、消費者と事業者との間で締結される消費者契約に適用される法律でありまして、消費者契約法におきましては、消費者とは、事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く個人とされており、反復継続的に同種の行為が行われるようなときは、事業としてまたは事業のための契約ということになりまして、消費者には該当しないということになります。
こうした点を踏まえますと、例えば、声をかけられた女性の方が単発でビデオに出演する契約を締結するような事例については、消費者契約法の適用があり得ると考えております。
○梅村委員 繰り返しがなければあり得る。本当はもっと救済していただきたいんですけれども、現行法の中でもやはり救済が十分できるということですので、ぜひこれは入り口で、徹底的に女子高校生の皆さん、若年層の皆さんの性的被害をなくしていただくために、全力を挙げていただきたいというふうに思います。
そして、実際には、東京の方で、特定商取引法の対象となって指導及び処分を行っているとも聞きましたが、この事例についても御説明いただきたいと思います。
○川口政府参考人 お答え申し上げます。
特定商取引法の方では、仕事を提供するので収入が得られるなどと誘引いたしまして、仕事に必要であるとして、商品を販売したり、役務を提供する等をして金銭負担を負わせる取引、これを業務提供誘引販売取引として規制対象としております。
東京都の事例でございますが、読者モデルを募集などをするということで声をかけて若い女性を呼び出しまして、十万円の事務所登録契約をさせていた芸能事務所に対しまして、この特定商取引法の業務提供誘引販売に該当するとした上で、不実告知、断定的判断等の不適切な取引行為を認定し、結果的に六カ月の業務停止命令を行ったという事例がございます。これは昨年の三月の処分でございます。
○梅村委員 特定商取引法の方でも、業務提供誘引販売の事例などで対応、処分をしている例があるということですので、消費者庁としても若者たちを救う手だてというのはいろいろ考えれば私はたくさんあるのではないかなというふうに思います。
最後に、大臣に伺います。
この問題では、他の委員会でも私たち共産党の議員が質問をさせていただき、イニシアチブを発揮していただけるというような御答弁もあったかというふうに聞いております。
今質問させていただいたように、消費者庁分野、消費者契約法や特商法ももっと救済ができないものか、できないのであれば、ぜひ法改正もして救済してほしいというふうに私も思いますし、支援団体の方からも強い要望が出ているところです。
事前のレクでも、いろいろ使えるところがないかについては意見交換をさせていただきましたが、残念ながら、今、若年層の被害を救済する包括的な法制度はありません。しかし、消費者庁としてはいろいろできることもあるのではないかというふうに思います。
ぜひ、大臣、多方面の大臣もされているということもありますし、政府として知恵と力を、この点では力を尽くしていただきたいと思いますが、消費者庁としてはいかがでしょうか。
○河野国務大臣 アダルトビデオに強制的に出演させられるなんということはあってはならないことでございますので、消費者庁、国家公安委員会、手を携えてしっかりやってまいりたい。これは大きな問題だと思っておりますので、断固この問題については厳正に取り組んでいきたいと思っております。
○梅村委員 それで、被害があったときだけではなくて、そもそも、若い皆さんが消費者としての権利を知らずに社会に出ていっているということも問題としてあると思います。不実告知であれば取り消せる、こういうことも知らずに、泣き寝入りをして、どんどん被害に遭っている。
消費者教育も行き届かせて、そして、できれば学校で、周知できるような印刷物の提供や、また授業の中で権利としてあるんだよということを若い方々に知らせていっていただく、これについては今すぐできることもあろうかと思いますので、この点もぜひ強く希望して、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。