日本共産党の梅村さえこ議員は20日の衆院総務委員会で、総務省が3月29日に初めて公表した超過勤務時間数調査の結果をふまえ、地方公務員の長時間労働の是正を求めました。
総務省の富樫博之政務官は、調査について「年間の時間外勤務時間数は平均約158時間で、民間労働者とほぼ同等。調査結果をしっかりと受け止め、地方公共団体の時間外労働勤務縮減を支援する」と答弁。
梅村氏は、平均とともに重大なことは過労死危険ラインの月80時間超が本庁で2・2%あることだと指摘。また超勤の把握が自主申告の44%にとどまっていることは、厚労省の労働時間の適正な把握のための新ガイドラインに逆行するとして、解消に向け「労使間の協議が推奨されるべきだ」と主張。総務省の高原剛公務部長は「職員と地方公共団体の当局が、十分に話し合うことは重要だ」と答弁しました。
梅村氏は、労働基準法で、公務のために臨時の必要性がある場合は、三六協定を結ばずに時間外労働が可能だと定める労基法33条3項が、地方公務員の時間外労働常態化の大きな要因だと指摘し、その是正と上限規制を求めました。高市早苗総務相は、「調査結果を踏まえてさまざまな支援をしてまいりたい」と答弁しました。
【「しんぶん赤旗」2017年4月27日付】
ー会議録ー
○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
二月の予算委員会で、地方公務職場において三六協定違反の是正勧告が出される事態、また、この十五年間で、労災認定を受けただけでも百九十二人もの過労死があることを質問いたしましたが、その際の御答弁にあった総務省の超勤調査のまとめが三月二十九日公表されたことを踏まえ、質問をいたします。
まず、資料一にその調査結果があります。二〇一四年の過労死防止法なども受け、もっと早期にとも思いますが、このように総務省が初めて超勤結果についてまとめられたことは、大変貴重であり、その御努力に感謝を申し上げたいと思います。
そこで、具体的に、結果について、結果を重く受けとめるべき内容もあるかと思いますが、まず大臣に御認識を伺いたいと思います。
○冨樫大臣政務官 長時間労働は、職員の心身の健康や士気を確保する観点から問題があり、その是正は重要な課題であると認識をしております。
今回の調査の結果、地方公務員の年間の時間外勤務時間数は約百五十八時間であり、民間労働者時間は百五十四時間ほどと、ほぼ同等で、国家公務員二百三十三時間より少ないという状況でありました。
時間外勤務の縮減については、各団体において、ゆう活を初めとして積極的な取り組みも行われており、一定の成果が見られるところであります。
一方で、長時間の時間外勤務を行っている者や、職員の出退勤時間を職員からの申告により把握している団体が一定程度存在していることなどが確認をされました。
総務省としても、今回の調査結果をしっかりと受けとめ、地方公共団体における時間外勤務縮減の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
以上です。
○梅村委員 この結果を踏まえてしっかりやっていきたいという御答弁と、あと、長時間の勤務となっている者が一定存在するという御認識の御答弁だったというふうに思います。
それで、今の御説明ですと、この資料に基づきまして、平均時間での御紹介はあったんですけれども、やはり、労基法、労働時間は一日八時間、週四十時間とされている中で、一人一人の地方公務員の命も過労死で失ってはならないということでいえば、時間外労働が多い部分がどうなっているのかということをしっかりと私は見なければいけないというふうに思います。
そこで、この資料一の左の真ん中に、時間外勤務時間が最も多い団体の該当時間数がありますが、そこを見ますと、本庁では年三百七十二時間、これは、政府自身が働く人の健康を守るためとしてきた残業時間、大臣告示の月四十五時間、年三百六十時間を超えているというふうに見えます。
さらに、その右の、時間外勤務が多い職員の数ですが、過労死危険ラインの月八十時間超が、本庁では延べ人数で年間三万九千百八十五人、二・二%、本庁と出先機関を合計すると五万七百九十八人、一・一%、六十時間超えも九・二%、約一割近くあります。
この調査は都道府県と政令指定都市と県庁所在地ですから、もし全地方公務員を対象にすれば、もっと多い方々が月八十時間の過労死危険ラインを超えて働いていらっしゃる現状があろうかとも思います。
平均ではなくて、この八十時間とか、多いところでの結果ということについてはどのような受けとめになっていらっしゃいますでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
平均時間のみならず、一部の超勤時間が長い職員の皆さんの超勤時間をどうやって縮減していくかというのは非常に重要な課題であるというふうに考えております。
私ども、長時間労働の是正を含めた働き方改革について、今年度の予算で、地方公共団体と総務省の担当者が各団体が抱える共通の課題について意見交換を行い、課題の解決に向けて検討するような場を設置するような予算もいただいているところでございまして、このような取り組みを通じて、それぞれの地方公共団体における実態を十分把握した上で、各団体の時間外勤務縮減の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○梅村委員 一部にということでしたけれども、人の命は一つ一つが大切で、一人たりとも過労死で亡くなってはいけないわけですから、一人でも労基法違反があってはならない、三六協定は違反してはならない。これから質問いたしますけれども、三十三条に違反するような、そういう勤務状況があってはならない。一部なんという言葉は、やはり使ってはならない言葉だというふうに私は感じました。
それで、もう一つこの結果で重大なことは、出退時間の把握方法が職員からの申告が四四%となっている、これも非常に重大な点だというふうに思います。
これは、電通の高橋まつりさんの過労死事件を受けて一月二十日に厚労省が出した労働時間の適正な把握のための新ガイドラインで、タイムカードやICカードなどで勤務時間を客観的に把握すること、使用者が現認することなどを強める方向と逆行するような事態が、やはり地方公務職場ではある。四四%です、自己申告が。
電通ではどうしてこういうことが問題になったかというと、三六協定で残業上限を月七十時間に設定していたのに、労働時間を自己申告制にして、高橋さんは月百三十時間働いていたのに、月七十時間以下になるような過少申告をさせられていた。これが問題だからといって、厚労省の新しいガイドラインでここの厳格化が行われたというふうに思うわけですね。
そういうことを踏まえますと、やはり地方公務職場で出退勤時間の把握がいまだに職員からの申告が四四%という、その到達というのは、私は深刻に捉えて、ここの打開はすぐに求められることだというふうに思います。
それで、既に総務省は二月八日にこのガイドラインを周知するための通知を出され、全国の自治体の中には、労使間でこうした労働時間の管理の見直しを行うなどの前向きな動きも広がっているということも聞いております。これも皆さんの努力もあるかというふうに思います。
こうしたガイドラインを推進しようとすれば、労使間の協議が推奨されるべきと考えますが、この点、総務省はどうお考えでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
職員の勤務時間につきましては、まさに勤務条件に該当するものでございますので、職員と地方公共団体の当局が十分に話し合いをすることは、両者の意思疎通を円滑にし、そのことによって相互理解が深まり、職員の士気向上や公務能率の増進に資するものと考えており、重要であるというふうに認識をいたしております。
以上でございます。
○梅村委員 労使でしっかりと協議をし、必要な手だてをとっていくことが大事だということが確認されたと思います。
京都府の労働組合が、二〇一四年六月以降、毎月超勤実態調査に取り組んでいるんですけれども、昨年十二月の調査では、時間外手当の請求について、一時間未満も全て請求するというのはたった一割です。全ては請求できない、ほとんどできていないというのが計五二%となっています。
電通で起こっているような労働時間の過少報告が自治体でも起きている、こうした現状をしっかり捉えていただいて、今回の調査結果に基づいて政策的に対応していくと同時に、さらにそういう実態をつかんでいただいて、対応していただきたいというふうに思います。
さて、次に、本庁などの超勤が、平均で、多いところでも年三百六十時間を超えている結果に関連して伺っていきたいと思います。
私の地元のさいたま市でも、残業時間が月百二十時間を超えたために、人事委員会から是正勧告が出されました。昨年十月の市議会では、二〇一五年度に年間千時間超の職員が三十一名いた、さいたま市で。そういうことが議会でも大問題となっております。
こうした千時間も超えるような超勤の根拠、これは二月八日の予算委員会でも御答弁いただきましたが、公務のために臨時の必要がある場合や、災害その他避けることができない事由によって臨時の必要がある場合には、三六協定を結ぶことなく時間外労働が可能だ、こういう御答弁が予算委員会でありました。これは、労基法の三十三条一項、三項であるというふうに思います。
しかし、総務省が行ったこの超勤結果、年間三百六十時間を超えている、そういう超勤実態も含めて、では、これ全てが臨時の必要性によるものなのか、そういう中で超勤が行われているのか。年千時間を超える人が三十一人もある、これは臨時の必要性なんでしょうか。御答弁をいただきたいと思います。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
今回の私どもの時間外勤務に関する実態調査におきましては、時間外勤務命令の根拠については調査を行っておりません。
ただ、地方公務員につきましては、国家公務員と同様、労基法三十三条三項の規定によりまして、公務のため臨時の必要がある場合には労働時間を延長することが可能であり、いわゆる三六協定を締結する必要はないと解されておりますことからすれば、基本的には労働基準法第三十三条第三項の規定に基づいて時間外勤務命令がなされているものと考えております。
以上でございます。
○梅村委員 それは、本庁ではということで限って聞いているわけですから、三十三条に基づいてという前提で聞いているわけです。
質問は、こういう超勤が臨時ということで見れるのかどうか。臨時だからということで超勤がされているわけですよね、許されているわけですよね。ですから、御認識として、こういう超勤が臨時というものとして捉えているんでしょうかということを聞いているんです。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
労働基準法三十三条三項の、公務のため臨時の必要がある場合の判断につきましては、任命権者に委ねられているということでございますので、任命権者において臨時の必要があるというふうに判断をされたものと考えております。
以上でございます。
○梅村委員 全然お答えになっていないと思うんですね。
厚労省の方に聞きたいと思います。
臨時の必要というふうにこの三十三条にはありますけれども、その臨時というのは何か定めがあるのか、何をもって臨時と解釈されるのか、御答弁をお願いいたします。
〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕
○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
労働基準法第三十三条三項におきましては、いわゆる現業でない地方公務員の方について、公務のために臨時の必要がある場合においては労働時間の延長などができると規定されているわけですが、公務のために臨時の必要があるか否かの認定につきましては、私どもとしての解釈は、各行政官庁に委ねられているというふうに解しているところでございます。
○梅村委員 これだけ超勤がまかり通っていて、一部には確かに臨時的にやっているものもあるかもしれませんけれども、これだけ超勤調査を出されて一定こういう状況があるということを踏まえれば、これが臨時としてやられているというような認識というのは、働いていらっしゃる方が一番それはわかっていらっしゃることだと思いますけれども、現在の時間外労働が恒常的に常態化したものであるということは議論の余地がないことだというふうに思います。
そして、臨時とは何かということが明らかにされないまま、この使用者、任命権者が臨時だと判断すれば臨時であり超勤命令が出せる、そういう解釈のやり方で今日来ているわけです。この解釈は、昭和二十三年、一九四八年、もう六十九年間もこういう、臨時といいながらやられているということが経過的にはあるわけです。
今まさに社会全体として、この過労死がふえていく中で、罰則を科して労働時間の上限規制を強めようと議論がなっているときに、地方公務員においては、六十九年前のこのような解釈で、三十三条によって事実上、超勤の青天井となっている。やはりこれは今考え直さなければいけない。歯どめが必要。そうしなければ、私は、地方公務員の皆さん、公務職場での長時間労働というのが根本的になくなっていく方向には向かわないのではないかというふうに思います。
そこで、高市大臣に伺いたいと思います。
資料の中で、政府の働き方改革実現会議におきましても、公務についても時間外労働の縮減が課題になっているかと思います。今回の超勤調査結果を受けまして、総務大臣としてのイニシアを発揮すべきと思いますが、この御認識を伺いたいと思います。
○高市国務大臣 地方公務員については、時間外勤務の縮減のための取り組みをさらに進めていくということが重要でございます。
勤務時間の管理は、一義的には、各地方公共団体の責任において行われるべきものではございますけれども、総務省としても、調査を行ったわけでございますので、この調査結果を踏まえた通知を速やかに発出いたします。
それから、各団体が抱える課題の解決に向けた意見交換の場の設置、それから先進事例の積極的な収集、提供と好事例の横展開といったことを通じて、地方公共団体における時間外勤務縮減の取り組みをしっかりと支援してまいりたいと思っております。
○梅村委員 この工程表も、きょう、つけさせていただきました。この表題というのは、上限規制の導入という中に、公務職場でもどうしていくのか、こういう表になっていくわけですが、残念ながらこの中には、では上限規制はどうしていくのかということにはなっておりません。
やはり、この間の民間の事態を見ましても、上限規制をしっかりと決めていくということは公務職場でも私は待ったなしだし、その点でも、三十三条についてしっかりと検討が改めて必要になっていることを要望させていただきたいというふうに思います。
それで、最後になりますが、長時間労働をなくしていくためにも、現場の圧倒的声は、人が足りない、忙しい、その声だというふうに思います。
ことし一月に滋賀県の人事委員会が時間外勤務に関する職員アンケートをとりましたけれども、時間外勤務がなくならない理由の圧倒的一位が、業務量が多く、現在の人員では対応できない。これは、一般職が六六・五、管理職が五九・一%でした。
こうした声を受けとめることが長時間労働の打開には必要だと思いますが、最後、御答弁をお願いいたします。
○冨樫大臣政務官 総務省では、各地方公共団体の定員管理については、地域の実情を踏まえつつ、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むよう助言をしております。
地方公共団体においては、防災部門や福祉事務所、児童相談所等の職員は増加するなど、行政需要の変化に対応した、めり張りのある人員配置を行っていると承知をしております。
公務においても、時間外勤務の縮減は重要な課題であり、各団体において、引き続き、自主的に適正な定員管理を推進しつつ、時間外勤務の縮減に取り組むことが重要と考えております。
以上です。
〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕
○梅村委員 人が足りないという声をしっかりと聞いていただきたい。人が足りずに産休がとれない、そういう教師の方もいるわけです。こんなことでは、安心した教育を広げていくことはできません。
今回の超勤調査を踏まえて、その打開に総務省がイニシアチブを発揮されることを強く要望して、質問を終わります。
ー配布資料ー