梅村さえこ-日本共産党党中央委委員・子どもの権利委員会副責任者
国会質問

質問日:2017年 6月 1日 第193国会 総務委員会

電子委任状 促進法案でマイナンバーカード 総務相「強制せず」梅村氏に答弁

  

  日本共産党の梅村さえこ議員は1日、衆院総務委員会で、電子委任状の普及促進法案について、マイナンバーカードを使いたくない人も含めて「安心して分かりやすく活用できる電子化の環境を整えるべきだ」と求めました。

 法案は、電子商取引の拡大に合わせ、電子委任状や電子署名の普及を促進し、その取り扱いをルール化するもの。梅村氏は、政府の説明資料や「日本再興戦略2016」などで、電子委任状等の導入をマイナンバーカードの「利活用拡大の手段」としていると指摘。一方で、法案には同カードの規定がないとただしました。高市早苗総務相は「マイナンバーカードは電子署名の選択肢の一つ。強制するものではない」と表明しました。

 梅浦氏は、電子署名認定業者が発行するICチップなら会社で管理できるが、個人情報が入ったマイナンバーカードを契機に使用すれば、本人の意思に反して流用や紛失の危険が高まると述べ、「選択肢の一つなら、マイナバーカードありきにすべきではない」と強調しました。

 また、梅村氏は、保育所の入所手続きの電子化をめぐって、マイナンバーカー前提の活用例だけを示すのは誤解を与えると批判。総務省は同カードを使わなくても、従来の電子署名で手続き可能と答弁しました。

【「しんぶん赤旗」2017年6月5日付】

ー会議録ー

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。
 インターネット等を利用した電子商取引が拡大する中、電子署名や電子認証についての法的効力を明確にし、その取り扱いルールを整備することは重要だと考えます。その上で、幾つか質問したいと思います。
 まず一点目ですが、本法案についての政府の説明資料などでは、マイナンバーカードの利活用が満載となっているかと思います。日本再興戦略二〇一六では、電子委任状の導入はマイナンバーカードの利活用拡大の手段の一つと位置づけられています。しかし、本法案を法文上ずっと読んでみても、マイナンバーカードという言葉は出てこないように思います。
 その規定と考え方について、まず高市大臣に伺いたいと思います。
○高市国務大臣 この法律案は、対面、書面原則を転換して、電子委任状の普及を通じて、各種手続の電子化を進展させようとするものでございます。
 この法案が電子化を推進する手続において電子署名の手段としてマイナンバーカードを用いるということは、あくまでも選択肢の一つでございます。電子署名の方法としては、マイナンバーカードを用いる方法以外に、民間事業者が現在発行している専用のICカードなどを用いて行う方法もございます。
○梅村委員 ありがとうございます。
 あくまでもマイナンバーカードは一つの選択肢で、これまでの民間の電子署名なども活用対象であるということだと思います。
 それで、今の答弁にはなかったんですけれども、第二条の「定義」の中の「主務省令で定めるもの」という中で、今後この中で、マイナンバーカード、法務省の商業登録簿などが入るということを事前に伺っておりますので、今後そうなるのかなというふうに思い、確認をさせていただきたいと思います。
 今のように、あくまでも選択肢の一つだという答弁がありました。では、そこで、選択肢の一つということであれば、ほかにどのような選択肢があるのか。電子署名法ができて、先ほども約二十年近くということでしたが、現在の取扱会社名と、電子署名の活用の内容について端的に伺いたいと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 法第二条第四項イの省令においては、マイナンバーカードによる電子署名のほか、商業登記認証局が発行いたします法人代表者の電子署名を規定することを想定しております。
 また、委員お尋ねの、電子署名法上の認定を受けている民間認証事業者、具体的な事業者でございますけれども、八者ございます。株式会社NTTネオメイト、株式会社コンストラクション・イーシー・ドットコム、株式会社帝国データバンク、株式会社日本電子公証機構、ジャパンネット株式会社、セコムトラストシステムズ株式会社、東北インフォメーション・システムズ株式会社、日本電子認証株式会社、以上でございます。
 なお、電子署名は、行政機関にオンラインで申請、届け出を行う場合や民間の商取引において電子契約を行う場合に利用されるものでございます。
 具体的なイメージでございますけれども、申請書面や契約書面などをまず作成した後、パソコンに接続されたカードリーダーなどにマイナンバーカードなどをタッチして、カードのICチップに格納されております電子証明書などを用いていわゆる電子署名が行われるという形をとるところでございます。
○梅村委員 それでは、配付資料の1、これは総務省の方から資料で出されているものですが、「「電子委任状取扱業務」のイメージ」の中で、どのように電子委任状とマイナンバーや電子署名が使われるのかということを簡潔に御説明いただきたいと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 委員が配付をしていただきました資料の、右肩上でいいますと4と書いているページでございます。「「電子委任状取扱業務」のイメージ」と題する資料でございますけれども、この資料に基づきまして御説明をさせていただきます。
 まず、法人A、左の上にございますが、の社長が同じ法人Aの社員、下にございます、に代理権を授与したことを電子的に表示する電子委任状を作成する段階で、法人Aの社長が電子署名を行うことが想定されるところでございます。
 次に、法人Aと法人Bが実際に契約を締結する段階で、法人Aの社員の行った契約締結行為が法人Aの代表者が授権した代理権の範囲に属するものかどうかという点を確認するために、右下の法人Bの契約担当者が電子委任状取扱事業者に保管されている、右上でございますけれども、電子委任状を閲覧または取得してこれを確認するという段取りでございます。
○梅村委員 今、どういうふうに活用になるのかという具体的な御答弁があったと思います。
 ということは、電子委任状の送信を法人A社が電子委任状取扱事業者に送るときに、一つは電子署名が使われる。また、最終的に契約の締結を行うときに、代理権の授与がされたかどうかを契約相手である法人Bが確認するために、このときにマイナンバーカードや電子署名を使って、その人が本当に代理権の授与があるかどうかを、ここでも活用される、そういう活用シーンになるかと思います。それでよろしいですね。
 そこで、確認したいんですけれども、もし法人Aの社員さんが、私はマイナンバーカードは使いたくないというふうなお考えを持っている人の場合はどうなっていくのかということ。また、民間の電子署名のICカードであれば、会社の金庫に会社のものとして厳重に管理することができるかもしれませんが、もしここでマイナンバーカードを使うことになれば、会社の契約であっても、そもそも個人のものなので、個人で管理することになるのではないかと思いますが、その点はどのように想定されているでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 本法案は、電子委任状の普及を通じて、各種書類の電子化を進展させるとともに、マイナンバーカードの利活用の選択肢を広げようとするものでありまして、マイナンバーカードの利用を強制するものではございません。
 また、会社の業務としてマイナンバーカードを活用する場合であっても、マイナンバーカードは身分証明書でもあり、個人で管理することが原則であると考えております。
 なお、この点につきましては、他の認証手段に用いるICカードの管理方法についても、個人管理を含め、それぞれ当該企業の判断でさまざまな手法が現実にあり得るものというふうに考えております。
○梅村委員 何度も強調されて、マイナンバーカードを強制するものではないということが今もありましたので、それはこの後議論していきたいと思います。
 ただ、これまでの民間の電子署名のICカードと個人の情報が入るマイナンバーカードとは、全然質が違うものだというふうに思います。会社の契約のために個人のマイナンバーカードを持ち歩き、また使われるのは、紛失したり落としたりのリスクが高まり、個人への負担が大変大き過ぎるものではないかというふうに思います。そういう点では、選択肢の一つにもしていくということは、本来、管理との関係でもすべきではない、この点でも考えたいというふうに思います。
 また、マイナンバーカードを強制するものではないという点についてさらに聞いていきたいと思うんですけれども、資料2のところの雇用証明の場合の事例、これも事前にいわゆる総務省の資料としていただいたものです。
 選択肢はさまざまあるんだ、その一つの中にマイナンバーカードがあるんだということを重ねて強調されているんですけれども、この資料によりますと、社長さんの電子署名、括弧、社長のマイナンバーカード等に格納、この場合は等なので、まだ従来の電子署名も対象になっているのかなというふうにも思いますが、その下の、押印、社員の電子署名、括弧、社員のマイナンバーカードということで、マイナンバーカードしか記述がないんですね。
 さらに、資料3をめくっていただくと、「本法案で想定される電子委任状の利活用シーン」ということで、本法案により、電子委任状の利用シーンを段階的に拡大するということ。でも、本来、選択肢の一つであれば、従来の電子署名の記述もあっていいのかなと思いますけれども、ここも、段階的に拡大、マイナンバーカードの普及も加速というふうになっているので、この説明だけ聞くと、何かマイナンバーカードしか使えないというか、ありきというか、そういう説明になっちゃっているのではないかなということを大変強く思うんですよね。
 それで、本法案が、マイナンバーカードの利活用が強制ではない、あくまで選択肢を広げる、選択肢の一つということであれば、こういう説明は正して、これまでの電子署名もあわせて明記するように、国民の皆さんにきちんと正確に伝えるべきではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 委員の配付いただいております配付資料の2につきまして御指摘を頂戴したところでございます。
 この中で、社員の電子署名、社員のマイナンバーカードというふうに書いてございますけれども、この資料の表題にもありますとおり、これは雇用証明書の場合の事例ということで、あくまで例ということでございます。したがいまして、マイナンバーカードのみというわけでは当然ございませんで、マイナンバーカード以外の認証手段、例えば民間認証局が発行しているICカードの使用を排除しているものではございません。
 なお、配付資料の3、次のページでございますけれども、今委員の御指摘があったところでございますけれども、その下に書かせていただいておりますように、「本法案による電子委任状は、民間の発意によって活用されるものである(何らかの強制を伴うものではない)。」と記載をさせていただいておりますとおり、本法案による電子委任状は、マイナンバーカードの利用を前提とした制度設計とはなっていないところでございます。
 今後、本制度が実際に動き出していくという段階には、きめ細かな配慮をしながら、正しい情報を国民の皆様に提供できるよう、政府としても努めてまいりたいと考えております。
○梅村委員 今の御答弁にあったように、誤解のないような進め方をぜひしていただきたいというふうに思います。
 そこで、引き続いて、資料3に基づいて、さらに幾つか確認したいんですけれども、この中に、先ほど来他の委員の先生方からも御質問があった、マイナポータルでの子育てワンストップサービスについて質問をしたいと思います。
 保育所の入所手続において雇用証明書などが必要ですけれども、これを経由してやると非常に便利になるという説明がありました。Eメールやインターネットを経由して提出することになると思いますけれども、必ずここでマイナンバーカードが必要なのかということを確認させていただきたいと思います。
 先ほど、他の委員からの質問に、詳しい手順の答弁もあったかと思いますけれども、それを聞いても、必ずしもマイナンバーカードではなくても、従来の電子署名でも可能ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、これまでどおりの窓口に直接行って申請するというやり方であっても入園には不利にならないと考えますが、この点もあわせて確認させていただきたいと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 本年秋ごろのマイナポータルの本格運用開始に伴いまして、保育所利用申請などの子育てワンストップサービスが実現されれば、自治体への入所申請書、雇用証明書などの提出をオンラインで一括して行うことが可能となるものでございます。
 他方で、一般的には、従来のように、住民が自治体に出向いたり、必要書類を郵送する申請についても、マイナポータルによるものと同様に受け付けられるものと認識をしているところでございます。
 政府といたしましては、今後、官民データ活用推進基本法及びこれに基づき去る五月三十日に閣議決定をされました世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画を踏まえまして、対面、書面原則を転換し、手続の電子化を推進していくことを基本方針とし、住民の方々の利便性向上に資する観点から、行政手続の原則電子化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○梅村委員 その前の大切な質問の御答弁が抜けているんですけれども、従来の電子署名でも、いわゆるマイナンバーカードを使わなくても、電子化、いわゆるEメールやインターネットを経由しての雇用証明の提出というのは可能だと思うんですけれども、この点をしっかり確認したいんですね。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 委員の御指摘のとおりでございまして、いわゆるマイナンバーカードに限定されるというものではございませんで、民間認証局が提供する電子署名等を活用するといったようなことも、選択肢が、要は、一意に決まらない、自由に選択ができるという形で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○梅村委員 そこら辺も正確に、しっかりと周知をしていただきたいというふうに思います。
 さきに指摘したような、少しマイナンバーありきのような、マイナンバーカードありきのような説明になるのは、やはり、本法案の方向性について検討した総務省の懇談会、個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進の在り方に関する懇談会では、最終的には個人カードの普及等が一番の趣旨、いかにうまく属性と業務をあわせて普及していくかなど、マイナンバーカードの有効活用のための認証業務のあり方が議論され、電子委任状の普及促進を通じたマイナンバーカードの利活用拡大の狙いがこの根底にあるからだということをここで指摘しておきたいと思います。
 同時に、電子商取引、電子活用の促進を真に考えるならば、こうしたマイナンバーカードありきの電子委任状の推進はやめて、マイナンバーカードは使いたくないという人も含めて、全ての国民の皆さんにとって安心してわかりやすく活用できるような電子活用の環境づくりこそ行ってほしいし、行うべきだというふうに思います。
 民間の電子署名を使うと大変高い、一年で一万円ぐらいかかるというのもあります。また、中小零細業者の人たちにとっても、いまださまざまな負担が大きくて、やりたくてもやれないという声もありますので、こうした方々が安心してわかりやすく活用できるような、そういう環境づくりをぜひ行っていただきたいというふうに思います。
 最後に、あかま副大臣に一点のみ確認しますが、マイナンバーカードは申請主義であり、国民に義務づけるものではないかどうかだけ確認させてください。
○あかま副大臣 お答えいたします。
 本法案は、電子委任状の普及を通じて、各種書類の電子化を進展させるとともに、マイナンバーカードの利活用の選択肢を広げようとするものであり、マイナンバーカードの利用を強制するものではないことは、本日、累次御答弁をさせていただいたとおりでございます。
 また、御指摘のように、マイナンバー法上、マイナンバーカードは国民からの申請に基づき交付することとされ、取得を強制することはできませんが、一方で、国民の理解を得ながら、さらなる普及促進に取り組むことが必要と考えております。
 以上です。
○梅村委員 質問を終わります。ありがとうございました。

ー配布資料ー

電子委任状配布資料①

電子委任状配布資料②

電子委任状配布資料③

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