全国97の自治体で発生したマイナンバーを記載した通知書の誤送付トラブル。漏えいが懸念されながら、ゴリ押しした総務省の責任が問われます。
本紙の調べでは、住民税の「特別徴収税額決定通知書」の誤送付は97自治体、600人分が起きています。その中で多数のマイナンバーが漏えいしました。
「通知書」にマイナンバーを記載することにメリットはありません。
自治体にとっては、業務のはん雑化や、漏えいの恐れがあることなどが懸念されます。
漏えいが起きたある自治体の担当者は「送付する『通知書』の件数が膨大な中、今年からマイナンバー記載ということで、チェックする回数を増やして入念に作業したが、ミスが起きてしまった」と説明します。
受け取る側の事業者も作業や管理費用の負担増になります。マイナンバー付きの書類は、決められた担当者だけが取り扱うことや、カギ付きロッカーなどでの厳重な管理が定められているからです。
また、勤務先にマイナンバーを教えていない従業員にとっては、本人の頭越しに役所が勤務先にマイナンバーを教えることとなり、大問題です。
全国の運動を受け、名古屋市や東京都の中野区など、マイナンバーを記載しないことを表明した自治体も多くありました。
こうした自治体の動きに対しても、総務省は「個人番号記載に関するQ&A」などの文書で、記載するようゴリ押しを強めていました。
この問題では、日本共産党の梅村さえこ衆院議員や田村智子参院議員が国会質問で中止を求めています。
梅村氏は「危険だという声を無視してゴリ押ししてきた総務省の責任は重大です。これは私が質問した際の『番号法は個人情報保護が前提』『丁寧な説明をしていく』との国会答弁とも矛盾しています。マイナンバー記載は事業者と自治体に多大の負担と責任の押しつけとなっており、中止すべきです」と強調します。
【「しんぶん赤旗」2017年7月12日付】