日本共産党の小池晃書記局長は21日、国会内で記者会見し、「保育所等のコロナ感染に関する緊急提言」を発表しました。同提言は、党国会議員団と党子どもの権利委員会が取りまとめたもの。会見には、梅村さえこ前衆院議員・党子どもの権利委員会責任者が同席しました。(提言全文は↓下記へ)
小池氏は、デルタ株のまん延によって、子どもの感染が広がり、保育所の休園や登園自粛が増大していることを指摘。現場からは、保育施設内で感染が確認されても、行政検査が行われない、感染防止の業務負担が重くなるのに支援もないなど、切実な声が寄せられているとして(1)感染拡大を防ぐために、迅速な行政検査と定期検査を行うこと(2)保護者が安心して休めるように所得保障を確実に行うこと(3)保育所等の感染対策を自治体や国の責任で行うこと(4)感染症対策の観点から、直ちに最低基準の見直しに踏み出すこと―の四つの施策を緊急に求めていくことを表明しました。
四つの施策には、家庭に検査キットを配布し、子どもの体調不良時にすぐに検査が行えるようにすることや、所得保障を国の責任で行うことなどが盛り込まれています。
会見に同席した梅村氏は「コロナ禍で子ども、保育職員、保護者が長い間、我慢を強いられている。四つの保育緊急提言を多くのみなさんと力を合わせて実現し、子どもの権利を守る政治・社会をつくっていきたい」と述べました。
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保育所等のコロナ感染に関する緊急提言
2021年9月21日 日本共産党国会議員団 日本共産党子どもの権利委員会
「しんぶん赤旗」9月22日・4面より
日本共産党国会議員団と党子どもの権利委員会が21日発表した「保育所等のコロナ感染に関する緊急提言」の全文は次のとおりです。
デルタ株のまん延によって、子どもの中での感染拡大という新たな局面への対応が求められています。感染発生によって、休園となった保育所等は、9月16日時点で66園、7月初めに比べ約4倍となっています。濃厚接触者となっての登園自粛も増大しています。
保育施設内で感染が確認されても、保健所の逼迫(ひっぱく)から、濃厚接触者の特定や感染疑いのある者への行政検査が行われない、感染防止の業務負担が重くなるのに費用の支援もないなど、保育の現場から切実な声が寄せられています。また保護者の不安も増大しています。
新型コロナから子どもを守るために、政府が、保育所等に関して緊急に以下の施策を行うことを求めます。
1、感染拡大を防ぐために、迅速な行政検査と定期検査を行うこと
・保育所等で感染者が確認されたら、迅速にすべての子どもと職員を対象に行政検査を行うこと。
・保育所等での定期的な検査を、施設の費用負担なく実施できるようにすること。
・保育所等を通じて家庭に検査キットを配布し、子どもの体調不良時にすぐに検査が行えるようにすること。在所中の体調不良への対応として、保育所等にも検査キットを配ること。
・保育労働者へのワクチン接種が速やかに行われるようにすること。
2、保護者が安心して休めるように所得保障を確実に行うこと
・子どもの中での感染を抑えるためには、子どもの体調が悪いときはもちろん、休園や登園自粛となったときに、保護者が安心して休めることが不可欠である。確実に休暇をとれるように、休暇申請・休暇取得をした労働者への不利益な取り扱いが行われないようにすること。所得保障を国の責任で行うこと。
・政府は、未就学児の保護者を含め、小学校休業等対応助成金(自営業者等には支援金)制度を再開して所得保障を行うとしているが、従来の制度の問題点を改善すること。
――事業所を介さない個人申請と個人給付のさらなる活用
――保育所等を通じた制度の周知
――自営業者、個人事業主への額の引き上げ
・休園・登園自粛等に伴って保育料、副食費などの自己負担を返還免除すること。
・保護者が感染した際、子どもを保護する体制を自治体が確保できるようにすること。
・保護者がどうしても休暇取得が困難な場合、代替保育を自治体の責任で行うこと。
3、保育所等の感染対策を自治体や国の責任で行うこと
・衛生資材の購入、消毒など感染対策に必要な経費の補助を増額すること。
・休園の場合も国からの運営費は減額されていない。保育労働者の賃金削減とならないよう指導を強めること。すべての保育労働者に慰労金を支給すること。
・子どもの感染拡大によって、保育労働者が休まざるをえない事態も生じている。その一方で業務負担は増大している。全ての保育所等を対象に、臨時に保育士を雇えるよう給付金を交付すること。人員確保を施設だけの責任とせず、自治体からの人の派遣等も行うこと。
4、感染症対策の観点から、直ちに最低基準の見直しに踏み出すこと
・保育所の面積基準、人員配置基準は、「密」が避けられないものとなっている。現在行われている面積基準緩和の検討をただちにやめること。感染症の専門家の知見をえて、早急に改善の検討に転じること。